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MicroCat.1:LTEをMicroPythonですぐ動かせるボード

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MicroCat.1:LTEをMicroPythonですぐ動かせるボード

メカトラックスは「MicroCat.1(プレリリース版)」を発表・発売しました。本機はRP2350B+LTE Cat.1 bisモジュールを一体化したMicroPython対応マイコンボードで、セルラー接続のIoT試作を最短距離で始めたい人に刺さる構成です。PPP対応ファームウェアが書き込み済みで、買ってすぐに通信まで持っていけるのが最大の魅力です。

メカトラックスは2025年12月16日、**MicroCat.1(プレリリース版)**を発表・発売しました。公式ストアおよびプレスリリースに製品情報が掲載されています。

本機はRP2350BとLTE Cat.1 bisモジュールSIM7672JPを一体化したMicroPython対応マイコンボードで、セルラー接続のIoT試作を最短距離で始めたい人に刺さる構成です。PPP対応ファームウェアが書き込み済みなので、「電源入れたらもう通信できる」状態に近いのがうれしいポイントですね。

ただしプレリリース版のため仕様変更の可能性がある点と、消費電流が未確定な点は購入前に押さえておきたいポイントです。

目次

スペック

■ MicroCat.1(プレリリース版)
プロセッサRaspberry Pi RP2350B(デュアルArm Cortex-M33 @ 150MHz)
メモリ520kB(内蔵)+8MB(拡張)
ストレージROM 16MB
LTEモジュールQuectel SIM7672JP(LTE Cat.1 bis)
LTE速度下り最大10Mbps・上り最大5Mbps(理論値)
対応バンドB1/B3/B8/B18/B19/B26
アンテナオンボードアンテナ
SIMスロットnanoSIM
インターフェースGPIO(Raspberry Pi Pico 2互換)・USB-C
電源USB-C 5V入力(消費電流は未確定)
OS/ソフトPPP対応MicroPython(カスタム環境)
サイズ85mm × 56mm

RP2350B+LTE Cat.1 bisモジュール+PPP対応MicroPythonを85mm × 56mmに凝縮した「買ってすぐセルラー通信」向けボード。国内キャリアIOT済みのSIM7672JP搭載で、実用性と信頼性のバランスが良いですね。

プレリリース版のため消費電流が未確定な点や、オンボードアンテナのため筐体設計に電波的な配慮が必要な点は確認しておきたいポイントです。

特徴

主要コンポーネント(RP2350B+SIM7672JP)

MicroCat.1は、Raspberry Pi Pico 2系で使われるRP2350Aの上位チップRP2350Bと、LTE Cat.1 bisモジュールSIM7672JPを一体化したボードです。「マイコン+セルラー通信」を最短距離でやりたい人に刺さる構成で、クラウド送信を前提にしたデモ(カメラ+温湿度センサー)もプレスリリースで触れられています。

RP2350BはRP2350Aの上位版で、デュアルArm Cortex-M33が150MHzで動作します。RP2350Aとの違いは主にGPIOピン数で、RP2350Bは48ピン版として提供されています。いわゆるLinux機ではなく「リアルタイム寄りのマイコン脳」で動かす前提なので、重いサーバー処理やデスクトップ用途ではなく、センサー収集からクラウド送信へ、省電力待機と組み合わせた王道IoTルートが得意分野ですね。

競合としてはM5Stack系やSeeed XIAO+LTE外付けの構成がありますが、MicroCat.1の強みは「PPP対応MicroPythonが最初から載っている」点。初期設定で詰まりにくいのが実務的にかなり効きます。

メモリとストレージ

公式の案内では、RAMは520kB(内蔵)+8MB(拡張)、ROMは16MBとされています。GitHub Wiki側にも同等の数字が載っています。マイコンとしては十分な容量で、MicroPythonコードとセンサーデータのバッファリングには困らないでしょう。

MicroCat.1 正面
参考:メカトラックス公式ストア

ここで大事な注意点が1つ。展示会配布の案内で「ROM 16GB / RAM 8GB」と誤記があり、正しくは16MB / 8MBだと公式ストア上でも訂正が明示されています。この手の「桁違い」は購入判断に直結するので、ここは強めに押さえておくのが安全です。

実用イメージとしては、MicroPythonでセンサー値を取りつつ、LTEで定期送信、送信失敗時はローカルにキューして再送する……という「現場IoTの作法」を比較的ラクに形にできそうです。

ネットワーク(LTE Cat.1 bis)

搭載モジュールSIM7672JPは、LTE Cat.1 bisとして下り最大10Mbps・上り最大5Mbpsをサポート(理論値)。同モジュールはドコモ・auの相互接続性試験(IOT)実施済みで、国内キャリアでの利用が前提になっています。

対応周波数帯はGitHub WikiでB1/B3/B8/B18/B19/B26と記載があります。ドコモのB1/B3/B19、auのB1/B18/B26をカバーしているので、都市部から地方まで実用的なエリアが期待できますね。ソフトバンク系はB8対応ですが、主力のB1/B3で対応しています。

LTE Cat.1 bisは、Cat.4(下り150Mbps)などと比べると速度は控えめですが、その分モジュールの消費電力が抑えられるのがメリット。IoT用途で「10Mbpsあれば十分」という現場では、電池持ちとのバランスが取りやすいです。

ソフトウェア(PPP対応MicroPython)

MicroCat.1にはPPP通信に対応したMicroPythonファームウェアが書き込み済み。さらに、通信モジュール制御用のMicroPythonライブラリSIM7672も提供されており、ファームウェアに含まれると明記されています。

ファームウェア自体はGitHub Releasesで配布され、書き込み手順はPico 2相当の流れでいけます。「買ったら、まずMicroPythonで対話して通信まで持っていく」までが最短になっているのが、実務的にかなり良いポイントなんですよね。

通常、LTEモジュールをマイコンで使う場合は「ATコマンドを叩いてPPP接続を確立して……」という手順が必要ですが、MicroCat.1はその部分がライブラリ化されているので、PythonのurequestsでHTTPを投げるところまで比較的スムーズにいけるはずです。

外観

MicroCat.1 正面
参考:メカトラックス公式ストア

Pico 2互換ピン配置のコネクタが並ぶので、既存の拡張基板を流用して試作を回しやすいのが見た目からもわかります。サイズは85mm × 56mmで、Raspberry Pi Pico 2(51mm × 21mm)よりは大きいですが、LTEモジュールとアンテナが載っていることを考えると妥当なサイズ感ですね。

一方で、屋外常設を想定するなら筐体や防水は別途必須で、「基板むき出しで現場投入」は向きません。ここは割り切りポイントです。

MicroCat.1 背面
参考:メカトラックス公式ストア

背面側は配線・固定方法を考えるうえで重要で、特にSIM周りは抜き差しや保守動線を見込んでおきたいところです。LTE機器は「通信はできたけど、現場でSIM交換できない」みたいな事故が起きがちなので、設置前に運用導線まで固めるのが吉です。

MicroCat.1 内部
参考:メカトラックス公式ストア

LTEモジュールとI/Oの距離感、USB-Cの位置関係が把握しやすいです。オンボードアンテナ前提なので、金属筐体に入れる場合は電波の抜け方が課題になり得ます。設計段階で通信テストの時間を確保したいですね。ここ、ケチると後で泣きます。

その他

電源と消費電力

給電はUSB-Cの5V入力。一方で消費電流は公式Wiki上「TBD」とされており、現時点では未確認です。LTE通信時とスタンバイ時で消費電流は大きく変わるはずなので、電池駆動やモバイルバッテリー運用を考えている人は実測待ちになります。

参考までに、SIM7672JP単体の仕様だとLTE通信時で数百mA程度が想定されますが、RP2350Bとの組み合わせでシステム全体の消費電力がどうなるかは、プレリリース版のフィードバックを経て明らかになるでしょう。

I/Oと拡張

インターフェースとしては、GPIOコネクタ(Pico 2互換)、nanoSIM、USB-Cが案内されています。GPIO周りがPico 2互換なのは、既存の拡張HAT・センサー類を流用したい試作で地味に効いてきます。

Pico 2用のセンサー基板やOLEDディスプレイなど、すでに市場に出回っている拡張パーツがそのまま使えるのは、試作の初速を上げるうえでかなり重要なポイントですね。

まとめ

MicroCat.1(プレリリース版)は、「LTE通信をMicroPythonで、できるだけ早く形にしたい」人にとって、かなり実務寄りの近道になりそうです。PPP対応MicroPythonが最初から用意されていて、SIM7672向けライブラリも案内されているので、「まず通信させる」までの初速が出やすいのが最大の魅力ですね。

一方でプレリリース版なので、仕様変更の可能性や、消費電流が未確定な点など「買って検証してフィードバックしてね」という前提がはっきりあります。量産前提の製品開発というよりは、PoC(概念実証)や個人プロジェクトでの利用が想定されるフェーズです。

現場IoTの試作を短期間で回したい人や、Pico 2エコシステムに慣れている人には、LTE通信の初期実装で消耗せずに済むため強くおすすめできます。

一方で、最初から完成品レベル(筐体・認証・量産仕様まで全部固まっている状態)を求める人や、消費電力の仕様が確定していないと困る人には不向きかもしれません。

個人的には、基板一枚でセルラーまで持っていけるのは素直に強い反面、「オンボードアンテナ×筐体設計」の難所は出そうだな、という印象です。購入後の早い段階で電波テストをやるのが必須でしょう。

価格

販売元価格(税込)
メカトラックス公式16,500円(プレリリース版価格)

※プレリリース版価格のため、正式版リリース時に変更される可能性があります。

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