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MSI MS-CF19:Core Ultra対応で2.5GbEも載せた産業向け3.5インチSBC

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MSI MS-CF19:Core Ultra対応で2.5GbEも載せた産業向け3.5インチSBC

MSI IPCの産業向け3.5インチSBC「MS-CF19」を紹介。Intel Core Ultra(100U/200U)対応でNPUを内蔵し、2.5GbEと1GbEのデュアルLAN構成。ファンレス運用を想定しつつ、M.2 NVMeやSATA×2のストレージ拡張にも対応しています。

MSI IPCから産業向け3.5インチSBC「MS-CF19」が発表されました。Intel Core Ultra(100U/200U)シリーズに対応し、NPUを内蔵したエッジAI処理が可能な構成です。

ネットワークは2.5GbE(Intel I226-V)と1GbE(Intel I219-LM)のデュアル構成で、ゲートウェイやログ収集サーバーといった用途にも向いています。産業向けのため価格は見積ベースですが、装置組み込みやエッジ向けでCore Ultra世代のNPUを活用したい場合は検討の価値がありそうです。

目次

スペック

■ MSI MS-CF19
CPUIntel Core Ultra 200U/100U シリーズ対応
GPUCPU内蔵(Intel Iris Xe / Arc相当、SKUに依存)
NPUIntel AI Boost(CPU内蔵)
メモリDDR5 SO-DIMM×2、最大64GB
ストレージM.2 Key-M(NVMe Gen4 x4)、SATA III×2
M.2スロットKey-M(2280)、Key-B(2242/3042)、Key-E(2230、CNVi)
ネットワーク2.5GbE(I226-V)、1GbE(I219-LM)
映像出力DisplayPort×2、LVDS/eDP×2
USBUSB 3.2 Gen2×4、USB 2.0×2
GPIO8-bit(4 GPI/4 GPO)、5V
電源DC 12〜24V(OCP/OVP対応)
サイズ146×102mm(3.5インチSBC)
OSWindows 10/11 IoT Enterprise LTSC

Core Ultra(100U/200U)のNPU内蔵CPUを搭載可能で、2.5GbE+1GbEのデュアルLAN、M.2 NVMe+SATA×2のストレージ構成を146×102mmの3.5インチSBCにまとめた産業向けボードです。

特徴

SoC・CPU

MS-CF19の核は、Intel Core UltraのUシリーズに対応する点です。対応CPUとして、Core Ultra 100U世代(Core Ultra 7 165U、Core Ultra 5 155U/135U/125U)と、より新しいCore Ultra 200U世代(Core Ultra 7 265U/255U/235U/225U)が挙げられています。

Core Ultra世代の分かりやすいポイントは「ハイブリッド構成とNPU(Intel AI Boost)込みで、エッジ側の推論や画像処理、監視系の前処理を効率的に処理できる可能性がある」ことです。たとえばCore Ultra 7 265Uは12コア構成(Pコア、Eコア、低電力Eコアを含む)として公開されており、NPUを含むAI処理の"枠"が最初から設計に入っています。

一方でSBC/組み込み視点だと、性能だけでなく「熱」と「I/Oが使い切れるか」が勝負になります。MS-CF19は"Fanless/Ultra Low-Power"をうたい、標準サーマルソリューションはTDP最大15Wまで(加えて気流条件0.7m/sの記載)という、割と現実的な注意書きがあります。同じCPU名でも動かし方(PL1/PL2)や筐体の放熱で体感が変わるところなので、ファンレス前提で使うなら「どのCPU SKUを選ぶか」「筐体側の放熱設計ができるか」を先に固めるのが安全です。

ベンチマークの空気感としては、PassMarkやGeekbench Browser上でCore Ultra 7 265U/165Uのスコアが公開されています。Intel N100クラスからの置き換えだと、単純な"低消費電力ミニPC相当"というより、もう少し上のレンジの設計として見た方がよいでしょう。

電源・熱設計

電源はDC-in 12〜24Vで、過電流/過電圧保護(OCP/OVP)の記載があります。12V系の産業電源に寄せた作りなので、ラズパイ系の5V給電とは思想が違いますね。配線や電源品質が悪い環境でも落ちにくい設計が期待できます。

懸念点としては、CPU選択と熱の組み合わせです。製品ページには標準サーマルソリューションのTDP上限(15W)と気流条件が書かれているため、上位SKUを選んで高負荷を長時間回す用途だと、筐体側の放熱やエアフロー設計が前提になりそうです。安全側に倒すなら、最初から「筐体と放熱」込みで評価するのが無難でしょう。

ストレージ構成

ストレージはM.2 Key-M(PCIe Gen4 x4 NVMe)とSATA III×2が確認できます。NVMeでシステム、SATAでログやデータ、という組み方がしやすい構成です。

一方で「何からブートできるか(NVMe/SATA/USB等)」「復旧手順(リカバリ、BIOS設定、OS導入のガイド)」は、Getting Startedのような公式手順URLとしては確認できませんでした。AMI BIOS搭載の記載はあるので、一般的にはUEFI設定でブート順を決める運用が想定されますが、導入前にMSI IPCのサポート窓口や販売元に確認しておくのが確実です。

拡張スロット

M.2は3本立てで、用途の取り違えが起きやすいので先に整理しておきます。

  • Key-M(2280):NVMe SSD向け。PCIe Gen4 x4対応。
  • Key-B(2242/3042):LTE/5G想定。PCIe x1とUSB 2.0対応。
  • Key-E(2230):無線向け。CNVi対応(モジュール依存)。

Key-Mを無線用に買ってしまう、みたいな事故を防ぐには、最初から「Keyとサイズ(2230/2242/2280)」で部材表を作るのが安全です。

GPIOは「8-bit(4入力/4出力)、5V」の表記がありますが、ラズパイの40ピン互換のような"定番形状"かどうか、ピンヘッダの物理仕様までは確認できませんでした。産業用途だとコネクタ形状が独自なことも多いので、I/Oボードやハーネス設計をするなら、購入前に図面(ピン定義)を入手してから進めるのが安全です。

ネットワーク・映像

ネットワークは2.5GbE(Intel I226-V)と1GbE(Intel I219-LM)の2ポート構成です。ゲートウェイ用途でWAN/LANを分けたい、もしくは片方を管理用にしたい、といった構成がやりやすいですね。

無線はオンボード搭載の明記はなく、M.2 Key-E(CNVi)での構成が前提に見えます。日本向けの技適については、ボード単体に無線が載らない構成なら論点はモジュール側に寄りますが、国内運用なら技適取得済みモジュールを採用する方向で設計するのが無難でしょう。

映像はDisplayPort×2に加え、LVDS/eDP×2という"組み込み表示寄り"の構成です。デジタルサイネージや装置組み込みで複数パネルを扱う用途を想定していそうです。最大解像度は各系統で4096×2304@60Hzの記載がありますが、実運用ではOS/ドライバや同時利用条件が効くので、要件が厳しい場合は事前検証を推奨します。

OSはWindows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC / Windows 11 IoT Enterprise LTSCが明記され、Linuxは「Support by request」とされています。公式Linuxイメージ配布のノリではなさそうなので、評価時点でのドライバ提供範囲を販売元経由で確認してから進めたいところです。

外観

MSI MS-CF19 基板上面

基板上面:SO-DIMMスロット×2やM.2スロット群、LAN/USB/DPなどの主要I/Oが同一面にまとまっています

2本のSO-DIMMスロットやM.2スロット群、LAN/USB/DPなどの主要I/Oが同一面にまとまっているのがわかります。産業用途らしく、コネクタ密度は高めです。筐体に入れる場合は、I/O側の開口とケーブルの曲げ半径を先に見積もっておくのが安全でしょう。

MSI MS-CF19 ポート面

ポート面:DisplayPort×2、USB Type-A群、RJ45×2が一直線に並ぶレイアウト

DisplayPort×2、USB Type-A群、RJ45×2が一直線に並ぶレイアウトが確認できます。装置組み込みだと「ポート列の高さ」と「コネクタの抜き差しスペース」が効くので、パネル設計時に要注意です。

まとめ

MSI IPCの「MS-CF19」は、Core Ultra(100U/200U)対応でNPU込み、さらに2.5GbEと1GbEの2ポートを積んだ産業向け3.5インチSBCです。映像もDisplayPort×2+LVDS/eDP×2で、いわゆる"ミニPC"より装置寄りの設計に見えます。

価格は公開されていませんが、性格的には見積ベースの部材でしょう。2.5GbEとNVMe、SATA×2の構成を見ると、エッジゲートウェイや小型のログ収集サーバー用途に刺さりそうです。逆に、ファンレス前提で上位SKUを回したい人は、製品ページにある「TDP最大15W」などの条件を踏まえて、筐体の放熱設計とセットで検討するのが無難でしょう。

購入先価格備考
MSI IPC(Where to Buy)見積ベース(要問い合わせ)産業向け販売チャネル

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