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UP Xtreme ARL AI Dev Kit:83TOPSのエッジAI開発機

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UP Xtreme ARL AI Dev Kit:83TOPSのエッジAI開発機

UP(AAEON)のUP Xtreme ARL AI Dev Kitは、Intel Core Ultra 5 225H+Arc 130T GPU+統合NPUで合計83 TOPSのAI演算性能を持つ開発キットです。Ubuntu Pro 24.04 LTS+AIソフトスイート、USB HDカメラ、256GB SSD同梱で、PoC立ち上げの初速が出やすい構成になっています。

UP(AAEON)のUP Xtreme ARL AI Dev Kitは、Intel Core Ultra 5 225HにArc 130T GPUと統合NPUを組み合わせ、合計83 TOPSのAI演算性能をうたう開発キットです。

Ubuntu Pro 24.04 LTS+AIソフトスイートがプリインストールされ、USB HDカメラや電源アダプタまで同梱。箱を開けてすぐにエッジAI開発を始められる「オールインワン構成」が最大の魅力ですね。

ただし、メモリがオンボード(増設不可)な点は購入前に把握しておきたいところ。x86ベースで既存資産を活かしたい方、Jetson系とは違うアプローチでエッジAIを攻めたい方におすすめです。

目次

スペック

■ UP Xtreme ARL AI Dev Kit
CPUIntel Core Ultra 5 225H(14コア)
GPUIntel Arc 130T GPU
NPU統合NPU(Intel AI Boost)。GPU+NPUで合計83 TOPS表記
メモリ16GB LPDDR5(オンボード。ボードSKUとして最大64GBも存在)
ストレージ256GB M.2 SSD同梱。M.2 2280(M-Key)2基対応、PCIe Gen4 x4 NVMe
拡張M.2 2230(E-Key:Wi-Fi・BT)、M.2 3052(B-Key:LTE・4G・5G+nanoSIM)、SATA 6Gb/s
有線LAN2.5GbE(Intel i226)+1GbE(Intel i219)
映像出力HDMI 2.1 2ポート、DP 2.1 1ポート、USB-C経由DP 1.4(最大4画面)
USBType-AとType-Cを複数搭載
電源9〜36V DC入力(ロック付きDCジャック)、AT・ATX対応
サイズ・重量120.35×122.5mm、約0.36kg(ボード単体)
対応OSUbuntu Pro 24.04 LTS(AI SW Suite同梱)
付属品開発ボード、アクティブクーラー、USB HDカメラ、電源アダプタ、Ubuntu Pro+AI SW

Intel Core Ultra 5 225H+Arc 130T GPU+統合NPUで合計83 TOPSを120mm角に凝縮した開発キットです。 2.5GbE+1GbEのデュアルEthernetとM.2スロット複数で、現場設置や追加AIアクセラレータへの発展も視野に入っています。

特徴

SoC:Intel Core Ultra 5 225H

このキットの主役はIntel Core Ultra 5 225H(開発コード名:Arrow Lake-H)です。14コア構成で、Intel Arc 130T GPUと**統合NPU(Intel AI Boost)**を内蔵し、合計83 TOPSのAI性能をうたっています。

Arrow Lakeアーキテクチャのポイントは、CPU・GPU・NPUを1チップに統合した「ヘテロジニアス構成」です。Pコア(パフォーマンス)、Eコア(効率)、LPEコア(超低消費電力)を組み合わせて、アプリの負荷に応じて使い分けます。NPUはINT8推論に特化しており、映像認識や軽量LLM推論で真価を発揮しますね。

「じゃあ何がうれしいの?」という話をすると、CPUでアプリ全体を回しつつ、GPUやNPUに推論処理を逃がせるのがポイントです。たとえばカメラ映像の前処理・物体検出・イベント判定を同時並行でやる、といった"現場っぽい"処理が組みやすい方向性ですね。しかもx86なので、既存のLinux資産を乗せやすいのも地味に強いです。

なお、CPUコア構成については公式情報内で表記ゆれが見られます(例:一部ページでP・E・LPE構成が異なる記載)。本記事では「14コア」表記と整合する情報を優先しています。

メモリとストレージ

メモリは**16GB LPDDR5(オンボード)**としてキットが案内されています。**オンボードは、良く言えば「工業用途で外れにくい」、悪く言えば「後から増設できない」**です。購入前にここは割り切りポイントになりますね。

なお、UP Xtreme ARLボード単体としては最大64GBのSKUも存在しますが、開発キット同梱品は16GB構成のみとなっています。

UP Xtreme ARL AI Dev Kit 内部
参考:UP Board 公式製品ページ

ストレージは256GBのM.2 SSD同梱。さらにボード自体はM.2 2280(M-Key)を2基持ち、NVMe(PCIe Gen4 x4)対応です。増設計画(SSD追加やAIアクセラレータ追加)をするなら、最初に現物でスロット占有状況を確認しておくと安心です。

実用例でいうと、OS+推論環境(OpenVINO等)+録画・ログを全部ローカルに置いて、現場で"単体動作"させ、ネットワークにつながるときだけ結果をサーバーに投げる、といった構成が作りやすいです。

生成AI性能

このキットは「生成AIもやれなくはない」枠ですが、期待値調整が大事です。

できることとしては、軽量LLM(小〜中規模の量子化モデル)を"試す"、画像や映像の認識・分類・検出を"回す"、推論パイプラインを組んでPoCを作る、といった用途が挙げられます。一方で、VRAMを積んだ外部GPU機と同じノリで画像生成をガンガン回す用途には向きません。メモリはオンボードで、GPUも統合型なので、モデルのサイズ選びが現実を分けます。

とはいえ、公式が83 TOPSを明示していて、さらにM.2経由で追加AIアクセラレータも検討できる"伸びしろ"があるのは、開発キットとしてかなり良い設計だと思います。

競合との比較

エッジAI開発キットとして、競合製品との位置づけを整理しておきましょう。

製品AI性能アーキテクチャ特徴
UP Xtreme ARL AI Dev Kit83 TOPS(GPU+NPU)x86(Intel Core Ultra)OpenVINO最適化、既存Linux資産活用◎
NVIDIA Jetson Orin Nano40 TOPSArm(NVIDIA)CUDA/TensorRT、GPU推論に強い
NVIDIA Jetson Orin NX 16GB100 TOPSArm(NVIDIA)価格は高いが本格的なGPU推論向け
Raspberry Pi AI Kit(Hailo-8L)13 TOPSArm(Broadcom)低価格・低消費電力、軽量推論向け
Coral Dev Board4 TOPSArm(NXP+Edge TPU)TensorFlow Lite特化、超省電力

UP Xtreme ARL AI Dev Kitが刺さる用途は、既存のx86/Linux資産を活かしたい場合や、OpenVINO(Intel AI推論フレームワーク)でモデルを動かしたい場合です。CUDAベースのモデルをそのまま使いたいならJetson系が有利ですが、「Intel環境で統一したい」「産業向けI/Oや2.5GbEが必要」という要件ならこちらに分があります。

ネットワーク

ネットワークは**2.5GbE(Intel i226)+1GbE(Intel i219)**の二段構え。2.5GbEは単純計算で1GbEの約2.5倍の帯域なので、NASやエッジサーバーに映像・ログを投げる用途で効いてきます。周辺機器が2.5GbE対応なら、ボトルネックになりにくいのがうれしいポイントです。

映像出力

映像出力はHDMI 2.1×2ポート+DP 2.1×1ポート+USB-C経由DP 1.4で、公式は「最大4画面」をうたっています。たとえば「HDMI 2枚+DP+USB-C(DP Alt)」で4画面、みたいな組み方が想定しやすいですね。

最大解像度やリフレッシュレートの組み合わせ例は公式に明確な表が見当たらないため、4K・8K運用を狙う場合は、購入前に要件(ケーブル・ハブ・MST含む)を詰めるのが安全です。

電源と冷却

電源は9〜36V DC入力。ロボットや車載寄りの電源事情でも合わせやすいレンジで、現場ユースをかなり意識した設計です。さらに開発キットはアクティブクーラー同梱。高性能SoCを回し続ける前提の"熱"対策が最初から含まれるのは、地味にありがたいですね。

ソフトウェア

ソフト面ではUbuntu Pro 24.04 LTSがプリインストールで、NX AI Managerを含むAIソフトスイートが案内されています(評価用途の注記あり)。「箱を開けて、まずPoCを動かす」までの距離が短いのが、このDev Kitのいちばん実務的な価値です。

OpenVINOによるIntel最適化推論や、ONNX Runtime経由でのモデル実行も想定されており、既存のPyTorch/TensorFlowモデルを変換して持ち込む流れがわかりやすく整備されています。

外観

UP Xtreme ARL AI Dev Kit 正面
参考:UP Board 公式製品ページ

端子面は、映像(HDMI・DP)と有線LAN(1GbE・2.5GbE)、USBが"ちゃんと並ぶ"タイプで、ラボ配線が素直に作れそうです。コネクタが密集しすぎていないので、抜き差しのストレスは少なめに見えます。一方で、ケーブルが太い(DP・HDMI・LAN)構成だと、取り回しは最初に決め打ちしたくなりますね。

UP Xtreme ARL AI Dev Kit 背面
参考:UP Board 公式製品ページ

背面(冷却側)は、ヒートシンク+ファンの"いかにも本気"な構えで、継続負荷前提の設計に見えます。開発中って、意外とCPU・GPUを回しっぱなしにしがちなので、最初からアクティブクーラー同梱は安心材料です。反面、ファンがある以上、静音性や粉塵環境は運用側でケアしたいところです(防塵ケース等)。

まとめ

UP Xtreme ARL AI Dev Kitは、「x86で、最初からAI開発を始められる状態まで寄せてある」のが最大の価値です。Ubuntu Pro 24.04 LTS+AIソフトスイート、USB HDカメラ、256GB SSDまで同梱なので、PoC立ち上げの初速が出ます。

一方で、メモリがオンボード(増設しにくい)なのと、電源・冷却を含めて"性能相応の運用"が必要な点は、購入前に織り込むべきポイントです。

競合でいうと、CUDA前提のAI開発ならJetson系に分がありますが、既存のLinux・x86資産を活かして産業I/Oや2.5GbEを絡めたいなら、このキットはかなり筋が良い選択肢になります。

個人的には「83 TOPS」という指標を前面に出しつつ、M.2で伸ばせる設計は好印象です。ただ、価格は構成次第で"それなり"になりがちなので、用途(映像AI・ロボ・ゲートウェイ)を決めてから買うのが後悔しにくいと思います。

価格情報

販売元構成価格(税別・参考)
UP公式ストアAI Dev Kit(16GB/256GB SSD)約$1,200〜
UP公式ストアボード単体(UP Xtreme ARL)約$700〜
国内代理店(テックウインド等)フルキット要問い合わせ

※価格は2025年12月時点の参考値です。為替・在庫状況により変動します。

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