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Radxa C200 Orin Developer Kit:Jetson Orin NX搭載小型開発キット

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Radxa C200 Orin Developer Kit:Jetson Orin NX搭載小型開発キット

RadxaのJetson Orin NX 8GB搭載開発キット「C200 Orin Developer Kit」を詳しく紹介します。Super Mode(MAXN_SUPER)で最大117 TOPSを発揮し、NVMe 2枚搭載可能な拡張性が魅力。導入手順の注意点や競合比較も解説します。

RadxaからRadxa C200 Orin Developer Kitが登場しました。Jetson Orin NX 8GBモジュールと専用IOボードを組み合わせた、エッジAI向けの開発キットです。

注目すべきは、Super Mode(MAXN_SUPER)で最大117 TOPSを発揮できる点ですね。ロボティクスや産業用途を強く意識した設計で、NVMe 2枚搭載やCAN対応など、現場で求められる拡張性を備えています。

ただし、この117 TOPSを引き出すには導入手順に制約があるんですよね。この記事では、スペックの詳細から導入時の注意点まで、購入前に押さえておきたいポイントを解説していきます。

目次

スペック

■ Radxa C200 Orin Developer Kit
CPU6コア Arm Cortex-A78AE(最大2.0GHz)
GPUAmpere世代、1024 CUDA cores+32 Tensor cores(Super Mode時 最大1173MHz)
NPUNormal 70 TOPS / Super 117 TOPS(INT8 Sparse)、DLA+PVA搭載
メモリ8GB LPDDR5(6400MT/s、帯域102GB/s)
ストレージM.2 M Key NVMe×2(PCIe Gen4 x2+x4)、M.2 E Key(Wi-Fi/BT拡張用)
無線LAN・BTM.2 E Keyで拡張(モジュール別売)
有線LAN1GbE RJ45
映像出力DisplayPort×1(※DP 1.4/1.2 MST表記に揺れあり)
USBUSB 3.2 Type-A×4、USB-C×1(Recovery対応)
拡張40ピンGPIO、MIPI CSI 22ピン FPC×2、CAN、PoEヘッダ、PWMファン、RTC
サイズ100×79mm
電源DCジャック(5.5×2.5mm)9〜20V
対応OSUbuntu 20.04/22.04 LTS(JetPack対応)

Super Mode対応の117 TOPS級Jetson Orin NX 8GBを、NVMe 2枚搭載可能な100×79mmの小型基板に載せた開発キット。産業向けI/Oも充実していて、エッジAI試作に刺さる構成です。

特徴

SoC/CPU

CPUはCortex-A78AEの6コア・最大2GHzで、GPUはAmpere世代の1024 CUDA+32 Tensor構成です。推論と映像処理を並行して回せるJetson Orin NX 8GBらしい設計ですね。

AI性能は公式でNormal 70 TOPS、Super 117 TOPSと記載されています。いずれもINT8 Sparse前提の数値で、演算種別やSparse/Denseなどの条件で変わってきます。単純にTOPSの数字だけで他機種と比較するより、目標とする電力モードで実運用のスループットを出せるかを確認すべきでしょう。

Super Mode(MAXN_SUPER)は電力制限のないモードとして説明されており、熱設計次第ではスロットリングが発生し得るとNVIDIA側が注意喚起しています。Radxa C200 Orinはファン前提の設計で、PWMファンの存在が公式ドキュメントに明記されていますね。ケースに入れる場合は、吸排気とヒートシンク周りの設計も性能に直結します。

インターフェース図(公式画像)
参考:Radxa 公式製品ページ

NPU・AI性能

Radxa C200 Orin Developer Kitは、Super Modeで117 TOPSを発揮するJetson Orin NX 8GBを搭載しています。競合製品と比較してみましょう。

製品AI性能備考
Radxa C200 Orin(Super Mode)117 TOPSINT8 Sparse、電力制限なし
Radxa C200 Orin(Normal)70 TOPSINT8 Sparse、15W TDP
Raspberry Pi AI Kit(Hailo-8L)13 TOPSINT8、別売AI HAT
Radxa Orion O6(Cix P1)45 TOPSINT8、NPU内蔵
Orange Pi AI Max20 TOPSINT8、昇騰310B

Jetson Orin NX 8GBの117 TOPSは、エッジAI向けSBCとしては突出した数値です。ただし、これはINT8 Sparseかつ電力制限なしの理論値なので、実運用では70 TOPS(Normal Mode)を基準に考えておくのが現実的ですね。それでもRaspberry Pi AI Kitの5倍以上の性能があるわけで、マルチカメラの物体検出や高フレームレートの推論には余裕があります。

DLA(Deep Learning Accelerator)とPVA(Programmable Vision Accelerator)も搭載しており、GPUと並列にDLA推論を走らせるようなパイプライン設計も可能です。JetPack環境で開発を進めるなら、TensorRTやDeepStreamとの組み合わせでGPU+DLAの効率的な使い分けができます。

注意点として、MAXN_SUPERに入れるかどうかが導入方法に依存します。 公式ドキュメントでは、Balena EtcherやSDK Manager経由ではMAXN_SUPERに入れず、コマンドライン手順のみ対応と記載されています。性能目的でこのキットを選ぶなら、購入前にコマンドライン導入を許容できるか確認しておきましょう。

メモリとストレージ

メモリは8GB LPDDR5、6400MT/s、帯域102GB/s。同容量帯のSBCと比べると、CPU側よりもGPU/DLA側に帯域を優先する設計といえます。8GBはLLM系の常駐や多段パイプライン用途ではモデルサイズの調整が必要になりますが、物体検出やセグメンテーションといった一般的な推論タスクには十分な容量ですね。

ストレージはNVMe用のM.2 M Keyが2本(PCIe Gen4 x2とx4)という構成がうれしいポイントです。OS領域とデータ領域、あるいはログ用と推論用データセットを物理的に分離しやすく、産業用途で重宝します。

無線はWi-Fi/BT対応のM.2 E Keyで増設する方式なので、現場の電波要件に合わせてモジュールを選べます。ただし、購入後すぐに無線でセットアップする運用には向きません。有線LAN環境があることが前提になりますね。

外観

端子面/基板表裏
参考:Radxa 公式製品ページ

外観は100×79mmの基板に主要I/Oを高密度にまとめた設計です。USB Type-A 4ポートとRJ45、DisplayPort、電源入力が同一面側に寄っているため、机上配線は比較的シンプルにまとまりますね。

一方、拡張の中心となるM.2(NVMe 2基と無線1基)やMIPI CSIのコネクタは基板上面に配置されています。ケース運用ではSSDの放熱、FPCケーブルの取り回し、ファンの吸排気を事前に検討しておく必要があります。

インターフェースと拡張性

ネットワークは1GbEに加えて、PoE系のヘッダが用意されています。PDFにはPoE header/PoE backpower headerの記載がありますが、PoE運用に必要な周辺部品(HATや別基板など)の詳細は未確認です。運用する場合はRadxa公式ドキュメントのアクセサリ情報を確認してください。

電源はDCジャック 9〜20Vで、開発現場の12V系・19V系と相性が良い仕様です。USB-C給電を期待している人は注意が必要で、USB-Cはデータ・リカバリ用途として説明されています。

40ピンGPIOやMIPI CSI×2、CANバスなど、産業向けのI/Oがしっかり揃っているのもうれしいポイントですね。ロボティクスや監視カメラ系の試作で必要になるインターフェースが一通り載っています。

OS導入の注意点

OS導入については、Radxa BIOSファームウェアがプリインストールされており、USBドライブやNVMeからのブートをサポートしています。

ただし、前述の通りMAXN_SUPERが目的ならコマンドライン方式が必須です。 SDK ManagerではC200 IOボードがMAXN_SUPERに入れない旨が明記されています。

起動ファームウェアをRadxa側で扱っている点も特徴ですね。BIOSの再導入手順やRecovery Modeの入り方まで一次情報として公開されています。JetPackだけを見れば良いわけではなく、Radxa BIOS前提のブート運用を理解しておく必要があります。

microSD非対応について

RadxaのGitHub公式リポジトリによると、Jetson Orin Nano DevKitのようなmicroSDスロットはC200側のproduction moduleでは実装されておらず、Jetson SODIMMコネクタにSDMMC信号が露出していません。NVIDIAのSDカードイメージを別媒体で起動する場合は、EDK2によるカーネルパッチなどの追加対処が必要です。

microSD前提でJetson開発をしてきた人は、NVMeベースの運用に切り替える心構えが必要ですね。

まとめ

Radxa C200 Orin Developer Kitは、Jetson Orin NX 8GBの計算資源を100×79mmの小型基板に落とし込んだエッジAI開発キットです。NVMe 2枚搭載可能なストレージ構成と、GPIO・MIPI CSI・CAN・PoEといった産業向けI/Oで、エッジAI機器の試作を加速してくれます。

供給保証は2030年11月まで明記されており、産業用途や長期運用の判断材料になりますね。

JetPack環境でロボティクス・監視カメラ・産業用推論の試作を最短で回したい人や、NVMe 2枚構成でOS領域とデータ領域を明確に分離したい人には最適なキットです。また、長期供給保証のあるJetson開発環境を探している産業エンジニアにも、自信を持っておすすめできます。

一方で、Raspberry Piのように気軽にmicroSDカードで起動したい人や、コマンドラインによる環境構築(特にMAXN_SUPER設定など)を避けたい人には不向きです。無線LANも標準搭載ではないため、Wi-Fi環境が必須の人はM.2モジュールの追加が必要になる点に注意してください。

価格

販売元価格
Arace TechUS$499
Radxa公式(Approved Partners経由)販売店により異なる

※地域・送料・在庫により変動する可能性があります。

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