
USB-C一本で始める超小型SBC「BeagleBoard PocketBeagle 2」
2025年2月、BeagleBoard.orgから超小型SBC「PocketBeagle 2」が登場しました。Texas Instruments AM6254(クアッドCortex-A53、最大1.4GHz)を55×35mm・約12.7gのボードに搭載し、USB-C一本でPCに接続するだけで開発を始められます。
BeagleBoard.orgは「BeagleY-AI」を発表しました。TI AM67A搭載で4TOPS級NPU(C7x DSP+MMA)を備え、40-pin拡張ヘッダやGbE・Wi-Fi 6対応など、Raspberry Pi互換を意識したフォームファクタのオープンSBCです。HMI・カメラ・常時接続を一枚でまとめたい方に刺さる構成です。
2024年08月01日、BeagleBoard.orgはBeagleY-AIを発表しました。公式ページおよびMouser・Seeed・Newark・Digi-Keyなど正規販売店に製品情報が掲載されています。
本機はTexas Instruments AM67A搭載で、4TOPS級のNPU(C7x DSP+MMA)を備えた、AI向け演算をRaspberry Pi互換フォームファクタで使えるオープンSBCです。「Raspberry Piの形状でAI推論を動かしたい」というニーズにド直球で応える構成なんですよね。
40-pin拡張ヘッダやGbE・Wi-Fi 6対応など設置性も高く、HMI・カメラ・常時接続を一枚にまとめたい用途に刺さります。一方で、PCIeの実装条件やWi-Fi 6の2.4GHz限定など細かな制約もあるので、用途によっては事前確認が必要です。
| ■ BeagleY-AI | |
|---|---|
| SoC | Texas Instruments AM67A(Quad Cortex-A53 @1.4GHz) |
| NPU | 2× C7x DSP+MMA(合計4TOPS級) |
| GPU | Imagination BXS-4-64 |
| メモリ | 4GB LPDDR4 |
| ストレージ | microSDカードスロット |
| 無線LAN・BT | Wi-Fi 6(2.4GHz)、Bluetooth 5.4・BLE |
| 有線LAN | ギガビットEthernet(DP83867 PHY) |
| 映像出力 | micro HDMI(1080p@60)、OLDI・LVDS、MIPI DSI |
| カメラ入力 | MIPI CSI(複数) |
| USB | USB-A(複数)、USB-C(電源・デバイス) |
| 拡張 | 40-pin拡張ヘッダ(Pi HAT互換意図)、PCIe Gen3 x1 |
| 電源 | USB-C給電(5V 3A以上推奨) |
| 対応OS | 公式Debianイメージ提供 |
| 付属品 | 本体、アンテナ、クイックスタートカード |
4TOPS級NPU(2× C7x DSP+MMA)とWi-Fi 6・BLE 5.4・GbEを、40-pin拡張ヘッダ搭載のRaspberry Pi互換フォームファクタにまとめたAI向けオープンSBCです。公式Debianイメージが提供されており、ソフトウェア面でのサポートも手厚いのがうれしいポイント。BeagleBone系ボードで培われたオープンハードウェア文化を継承しているのも魅力ですね。
BeagleY-AIのコアはTexas Instruments AM67Aです。このSoCはTIのSitara AM6xファミリーに属し、正式名称は「AM67A」ですが、TI内部のコードネームでは「J722S」の派生とも言われています。Vision・AI処理を意識したラインナップで、BeagleY-AI以外にもPhytecなど他ベンダーのボードでも採用実績があります。
CPUコアはArm Cortex-A53の4コア@1.4GHzで、いわゆる省電力・効率重視のコアです。Raspberry Pi 4(Cortex-A72@1.5GHz)やPi 5(Cortex-A76@2.4GHz)と比べると、シングルスレッド性能は控えめなんですよね。ただ、BeagleY-AIのコンセプトは「CPUでゴリゴリ計算する」ではなく、「軽量なLinux処理やストリーミング制御、AI推論の前処理をCPUで行い、推論自体はNPU(C7x DSP+MMA)に投げる」という役割分担です。
この設計思想を理解していれば、CPU性能の控えめさはむしろ消費電力・発熱の低さとトレードオフだとわかります。常時稼働のエッジデバイス向けには合理的な選択です。
GPU(Imagination BXS-4-64)も搭載されていますが、Linuxドライバの有効化状況はイメージや構成に依存します。グラフィック用途を前提にする場合は、公式Debianイメージでの動作状況を事前に確認するのが無難です。TIのプロセッサSDKでは対応が進んでいるとされていますが、デスクトップ用途には過度な期待は禁物ですね。
NPUは2基のC7x DSP+MMA(Matrix Multiply Accelerator)で構成され、合計4TOPS級のAI推論性能を発揮します。INT8前提の演算で、画像認識・物体検出といったビジョンAI用途に適しています。
TIのC7x DSPは、従来のC66x DSPから進化したアーキテクチャで、ベクトル演算と行列演算を高速に処理できるのが特徴です。MMAユニットとの組み合わせにより、CNNやトランスフォーマー系モデルの推論を効率的に実行できます。TI提供のEdge AI SDKやTIDLランタイムを使うことで、TensorFlowやONNXモデルをNPU向けに変換・実行可能です。
競合比較で見ると:
| ボード | NPU性能 | 特徴 |
|---|---|---|
| BeagleY-AI(AM67A) | 4TOPS | ボード単体完結、オープンHW |
| Raspberry Pi 5+Hailo-8L | 13TOPS | 外付けアクセラレータ必須 |
| Orange Pi AI Pro(Ascend 310B) | 8TOPS | Huawei系エコシステム |
| NVIDIA Jetson Orin Nano | 20-40TOPS | 高性能だが価格も上 |
BeagleY-AIは「ボード単体でNPU・Wi-Fi 6・GbEがまとまっている」点と「オープンハードウェアで公式Debianが手厚い」点が差別化ポイントです。外付けアクセラレータなしでAI推論を始められるのは魅力ですね。TOPS数だけを追うなら他の選択肢もありますが、シンプルな構成で動かしたい人には刺さる構成です。
メモリは4GB LPDDR4固定で、購入後の増設はできません。AI推論用途であれば4GBで問題ないケースが多いですが、重いモデルを複数同時に動かす場合は注意が必要です。
ストレージはmicroSDカードスロットで、既定のブート媒体もmicroSDです。eMMCは非搭載なので、信頼性重視の運用ではインダストリアルグレードのmicroSDを選ぶのがおすすめです。
SDカードがない場合にEthernetブートを試みる挙動も記載されており、復旧経路やネットワークブート環境の構築として覚えておく価値があります。
手のひらサイズの基板で、中央に主要チップ、右側にUSB-Aスタック、下側にHDMI・USB-C系が配置されています。Raspberry Piライクなフォームファクタを意識した設計で、ケースやマウントの流用がしやすいのがうれしいポイントです。
基板サイズは約85×56mmで、Raspberry Pi 4/5とほぼ同等です。既存のPi用ケースがそのまま使えるかは製品によりますが、汎用ケースであれば対応しやすいサイズ感ですね。
40-pin拡張ヘッダは「Pi HAT互換を狙う」意図で設計されており、既存アクセサリの流用がしやすい構成です。ただし、ピン配置は完全互換ではなく、一部のピンは機能が異なる場合があります。HAT流用前には公式のpinoutページを一次情報として確認してください。
GbE(DP83867 PHY)に加えて、Wi-Fi 6とBluetooth 5.4・BLEを搭載しています。常時接続のエッジデバイスとして使いやすい構成ですね。
ただしWi-Fi 6は2.4GHz対応のみで、5GHzには非対応という点には注意が必要です。2.4GHz帯は混雑しやすいため、オフィスや展示会場など他のWi-Fi機器が多い環境では、有線LANをメインに使うのがおすすめです。
Bluetooth 5.4・BLE対応により、センサーデバイスとの連携やビーコン用途にも活用できます。
映像出力はmicro HDMI(1080p@60)、OLDI・LVDS、MIPI DSIと選択肢が豊富です。HMI・デジタルサイネージ寄りの用途に対応しやすい構成ですね。
OLDI(Open LVDS Display Interface)はTI独自のLVDS互換規格で、産業用ディスプレイとの接続に便利です。MIPI DSIも搭載しているため、タッチパネル付きの組み込みディスプレイを使った情報端末・キオスクにも向いています。
カメラ入力はMIPI CSI(22ピンコネクタ、複数)で、ビジョンAI用途にも対応できます。NPUとの組み合わせで、リアルタイム物体検出や顔認識といったアプリケーションを構築しやすい設計です。
電源はUSB-C給電で、安定動作には5V・3A以上が推奨と明記されています。AI推論やカメラ処理を行う場合は消費電力が上がるため、余裕のある電源を用意するのがおすすめです。
ファン端子(Pi 5互換の4ピン)も搭載されており、連続負荷を想定した設計思想が感じられます。筐体内に組み込む場合は、放熱対策を忘れずに。
PCIeはGen3 x1コントローラ搭載ですが、ケーブル・コネクタの要因でGen2相当へ制限が必要になる場合があるという注意が公式ドキュメントに明記されています。FPCケーブル経由で引き出す構成のため、信号品質の確保が難しいんですよね。
高速NVMe SSDを期待する場合は、実運用での安定条件を先に検証するのが現実的です。ストレージ拡張よりは、AI推論用のアクセラレータカード接続などの用途に向いているかもしれません。
40-pin拡張ヘッダにはI2C、SPI、UART、GPIOが引き出されており、センサー・アクチュエータとの接続に困ることはないでしょう。
BeagleY-AIは、AM67A+4TOPS級NPU(C7x DSP+MMA)という組み合わせを、Raspberry Pi互換フォームファクタに収めたオープンSBCです。
HMI・カメラ・常時接続を一枚のボードでまとめたい人や、オープンハードウェアであること、そして公式Debianサポートの手厚さを重視する人には強くおすすめできます。40-pin拡張ヘッダでPi HAT資産を活用しつつ、外付けアクセラレータなしでAI推論を始められる点も大きなメリットです。
一方で、Wi-Fi 6で5GHz帯を使いたい人(2.4GHz限定)や、PCIe Gen3の性能をフルに引き出したい人(Gen2制限の可能性あり)には注意が必要です。また、CPUはCortex-A53@1.4GHzと控えめなため、純粋な演算処理能力を求める用途には不向きかもしれません。
| 販売元 | 価格(税抜参考) |
|---|---|
| Mouser | 約$70前後 |
| Seeed | 約$70前後 |
| Digi-Key | 約$70前後 |
| Newark | 約$70前後 |
※価格は2024年8月時点の参考値です。為替レートや在庫状況により変動します。

2025年2月、BeagleBoard.orgから超小型SBC「PocketBeagle 2」が登場しました。Texas Instruments AM6254(クアッドCortex-A53、最大1.4GHz)を55×35mm・約12.7gのボードに搭載し、USB-C一本でPCに接続するだけで開発を始められます。

Particleの「Tachyon」は、Qualcomm QCM6490(Snapdragon 778G相当)を搭載し、5G通信・12TOPS NPU・バッテリー運用をRaspberry Piサイズに凝縮したSBCです。アンテナ内蔵でフィールド展開に強く、249ドルからという価格設定も魅力的です。

Banana PiはAI向けコアモジュール「Banana Pi BPI-SM9」の製品情報を公開しています。SOPHGO BM1688搭載で最大16 TOPS(INT8)表記があり、公式Docsでは複数のHDビデオストリームのデコード・解析など映像解析寄りの用途が強く意識されています。ただし電源(5V/12V)やサイズ、GbEポート数などに公式内で表記ゆれがあるため、購入時はモジュール単体・IOボード・セットのどれを指しているか確認するのが安全です。

Radxa Cubie A7Zは65×30mmにAllwinner A733(8コア)と3TOPS級NPUを搭載した超小型SBC。Wi-Fi 6やMicro HDMI 4K@60を備え、無線前提のエッジAI端末に向いています。