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Raspberry Pi Compute Module 5:Pi 5世代を組み込み機器へ

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Raspberry Pi Compute Module 5:Pi 5世代を組み込み機器へ

Raspberry Pi LtdはCompute Module 5を公開しました。本製品はRaspberry Pi 5世代のBCM2712を組み込み機器向けSoMに落とし込んだモジュールで、産業温度対応(-20〜+85℃)や少なくとも2036年1月までの長期供給が明記されています。メモリは最大16GB、eMMCは最大64GBまでのSKUが用意され、I/OはPCIe Gen2 x1やHDMI 2.0×2などRaspberry Pi 5譲りの構成を提供します。ただし、SoMのため利用にはキャリア基板が必要で、放熱・給電などはすべてキャリア設計次第です。

Raspberry Pi 5の性能を組み込み機器に持ち込みたい——そんな需要に応えるのがRaspberry Pi Compute Module 5(以下CM5)です。Raspberry Pi 5世代のBCM2712(Cortex-A76 4コア・最大2.4GHz)を55×40mmのSoMにまとめ、産業温度対応と長期供給をセットで提供してくれます。

SoMなので単体では何もできませんが、キャリア設計の自由度が高いぶん、量産機器への組み込みやカスタム筐体での展開には最適な選択肢なんですよね。開発スタートは公式IO Boardとセットで始めるのがおすすめです。

eMMCを搭載しない「Lite」バリエーションも含め、メモリ(2〜16GB)・ストレージ(0〜64GB)・無線有無で多数のSKUが用意されています。産業温度(-20〜+85℃)や少なくとも2036年1月までの長期供給が明記されているのも、製品化を検討する際のうれしいポイントですね。

目次

スペック

■ Raspberry Pi Compute Module 5
CPUBroadcom BCM2712:Cortex-A76 4コア 最大2.4GHz
GPUOpenGL ES 3.1・Vulkan 1.3対応(VideoCore VII相当)
NPUなし(AI推論は外付けアクセラレータを想定)
メモリ2・4・8・16GB LPDDR4-4267(ECC)
ストレージeMMC 0GB(Lite)・16・32・64GB(SKU別)
無線LAN・BT2.4/5GHz 802.11 b/g/n/ac+BT 5.0(SKUにより有無)
有線LANGigabit Ethernet PHY(IEEE 1588対応)
映像出力HDMI 2.0 2ポート相当(最大4Kp60 2画面同時)※端子はキャリア依存
カメラ・ディスプレイMIPI 4-lane 2ポート(CSI/DSI兼用)
拡張PCIe Gen2 x1(root complex)・最大30 GPIO(1.8V/3.3V)
電源5V単一入力(USB PDで最大5A@5Vサポート)※給電はキャリア依存
動作温度-20〜+85℃
サイズ55×40×4.7mm・M2.5取付穴 4ポイント

BCM2712(Cortex-A76 4コア・最大2.4GHz)+最大16GBメモリ+eMMC最大64GBを、55×40mmの産業向けSoMにまとめた製品です。Raspberry Pi 5と同じSoCを採用しているため、Cortex-A72世代のCM4比で2〜3倍のCPU性能が期待できます。I/OはPCIe Gen2 x1やHDMI 2.0×2相当を備え、キャリア設計次第で多様な展開が可能ですね。ただしSoMなので、そのままでは何もできません。

特徴

SoC・CPU

CPUはBroadcom BCM2712(64bit Arm Cortex-A76 4コア・最大2.4GHz)を搭載しています。従来のCompute Module 4がCortex-A72(BCM2711)だったのに対し、アーキテクチャが1世代新しくなりました。Cortex-A76はA72比でIPC(命令あたりの処理能力)が約35%向上しているとされており、同クロックでも体感できる性能差があります。

Geekbench 6での参考値としては、Raspberry Pi 5(同じBCM2712)がシングル700〜750、マルチ1,800〜2,000程度を記録しています。CM4(BCM2711)はシングル400〜450、マルチ900〜1,000程度だったので、世代交代で約2倍近い伸びですね。組み込み機器でこのクラスのCPU性能が使えるのは大きなメリットです。

グラフィクスはVideoCore VII相当で、OpenGL ES 3.1・Vulkan 1.3対応。デジタルサイネージや軽量なGUI用途には十分な性能があります。

AI・NPU性能

CM5にはNPU(ニューラルプロセッシングユニット)が搭載されていません。AI推論を組み込み用途で行いたい場合は、PCIe経由でCoral Edge TPUやHailo-8などの外付けアクセラレータを接続する構成になります。

競合のSoMと比較すると、たとえばRockchip RK3588搭載のSoM(Radxa CM5など)は6 TOPS相当のNPUを内蔵しており、エッジAI用途では優位です。NXP i.MX 8M Plus搭載のSoMも2.3 TOPSのNPUを内蔵しています。AI推論がメイン用途なら、NPU内蔵SoCを選ぶほうが電力効率・コスト面で有利になるケースが多いですね。

一方でCM5の強みは、Raspberry Piエコシステム(豊富なドキュメント・コミュニティ・ツール)がそのまま使える点と、長期供給保証がメーカーから明示されている点です。AI推論を外付けアクセラレータで補える用途なら、開発効率と調達安定性で選ぶ価値があります。

メモリとストレージ

メモリは2・4・8・16GBのLPDDR4-4267(ECC対応)で、PC的なマルチタスクから軽量コンテナまで幅広い用途に対応できます。16GBモデルなら、Docker複数コンテナ運用やNode.jsのビルドキャッシュ活用なども現実的ですね。

ストレージはeMMCで16・32・64GBのSKUがあり、Liteバリエーション(eMMCなし)もあるため、外部ブート前提の構成も選択可能です。eMMCはmicroSDより高速・高耐久なので、産業用途では基本的にeMMC搭載SKUをおすすめします。

eMMC搭載SKUへのOS書き込みは、公式IO Board経由でホストPCへUSB接続し、Raspberry Pi ImagerやddでeMMCにフラッシュする手順が用意されています。Lite(eMMCなし)はNVMe SSDや外部ストレージからのブートになります。

拡張

PCIeはGen2 x1(5Gbps)をroot complexとして提供。NVMeやAIアクセラレータを接続できますが、帯域はPCIe 2.0 x1の上限(実効約400MB/s)に制約されます。高速NVMeの性能をフルに引き出すのは難しいですが、一般的なSATA SSD相当の速度は出るので、eMMCよりは十分高速です。

CM5自体にM.2スロットはなく、キャリア側でPCIeをM.2等に変換する設計が一般的です。公式IO BoardにはM.2 M-keyスロットが用意されています。

GPIOは最大30本で、1.8Vまたは3.3Vの信号レベルに対応。基板対基板コネクタ経由でキャリアへ引き出す前提なので、Raspberry Pi本体のような40ピンヘッダは直接出ていません。

IEEE 1588対応のGigabit Ethernet PHYが内蔵されているため、計測・制御系や時刻同期が絡む用途にも対応できます。PTP(Precision Time Protocol)による高精度時刻同期が必要な産業用途にはうれしい仕様ですね。ただし実運用はキャリア実装とソフト設定次第です。

電源・熱設計

電源は5V単一入力で、USB PDによる最大5A@5Vサポートと明記されています。ただし実機の給電はすべてキャリア設計に依存するため、電源設計はIO Boardやカスタムキャリアの仕様を確認してください。

動作温度は-20〜+85℃が明記されており、産業温度グレードとして製品化の根拠にしやすい仕様です。ただしケース内利用は換気前提との注意書きがあり、放熱設計は構成依存でシビアになりやすい点は押さえておくべきですね。

公式からCM5用クーラー(アクセサリ)も販売されており、取付手順が公式Docsに記載されています。高負荷運用を想定するなら、放熱対策は早めに検討しておくのがおすすめです。

外観

Compute Module 5 基板上面

基板上面。SoCやシールド部品、基板対基板コネクタが確認できます(Raspberry Pi公式サイト)

基板サイズは55×40×4.7mmで、M2.5取付穴が4ポイント。Compute Module 4と同じフォームファクタですが、電気的な互換性は公式で「別設計」と位置づけられています。キャリア設計を流用する場合は接続の確認が必要です。

本製品はSoMなので、Raspberry Piシリーズで見慣れた「ポート面」は存在しません。Ethernet、USB、HDMI等の端子はすべてキャリア側で実装されます。

まとめ

Compute Module 5は、Raspberry Pi 5世代のBCM2712をSoMとして量産機器に組み込みたい場合の有力な選択肢です。産業温度対応(-20〜+85℃)や少なくとも2036年1月までの長期供給がメーカーから明記されているため、製品化における調達リスクの説得材料になります。

Raspberry Piエコシステム(OS・ツール・コミュニティ)を活かしたい場合や、長期調達の保証が必要な産業・業務用途、そしてカスタムキャリアを設計できるチームがいる環境には最適です。

逆に、SBCとしてそのまま使いたい人(キャリア設計なしには何も繋がらないため)や、高速NVMeを複数並べる構成(PCIe Gen2 x1の帯域制約)を求める場合には向きません。また、NPU内蔵が必須のエッジAI用途も外付けアクセラレータが必要になるため、注意が必要です。

PCIeがGen2 x1のため、NVMeやアクセラレータを大量に並べる構成は帯域設計に制約が出ます。放熱もケース内運用では油断すると詰むため、熱設計は入念に検討してください。

開発キット(CM5+IO Board)からスタートするのが現実的です。IO Boardには必要なI/Oが一通り出ているので、キャリア設計の参考にもなりますね。

価格

SKU構成価格(参考)
CM5 Lite 2GB2GB RAM・eMMCなし・無線なしUS$34
CM5 Lite 4GB4GB RAM・eMMCなし・無線なしUS$45
CM5 16GB 8GB8GB RAM・eMMC 16GB・無線ありUS$75
CM5 64GB 16GB16GB RAM・eMMC 64GB・無線ありUS$110
IO Board開発用キャリアボードUS$20

※価格は公式ブリーフ記載の参考値。SKU・構成・リセラーにより変動します。

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