
Thundercommは2025年1月7日にCES 2025にあわせて「RUBIK Pi 3」を公開しました。QCS6490(Dragonwing系)と最大12.5 TOPSのNPUを搭載し、128GB UFS 2.2をオンボードで備えるのが特徴です。USB-C PD(推奨12V 3A)前提などクセもあるため、電源とUFSへの書き込み手順は購入前に押さえておきたいところです。
Thundercommは2025年1月7日、CES 2025にあわせてRUBIK Pi 3を公開しました。公式の発表ページ・製品ページ・ドキュメントが揃っており、仕様からOSイメージ、書き込み手順までひと通り確認できる状態です。
本機はQualcomm QCS6490(Dragonwing系)を中核に、最大12.5 TOPSのNPUを備えたエッジAI向けSBCです。128GB UFS 2.2をオンボードで搭載しているので、microSDカード運用が前提のボードとは違い、最初からストレージ込みで組み立てやすいのが特徴なんですよね。
一方で電源はUSB-C PD(推奨12V 3A)前提です。条件を満たさないと起動しない旨が明記されているため、Raspberry Pi感覚で5V電源を流用するとハマりやすい点は要注意。導入前に「電源(PD)」「UFSへの書き込み手順」「NVMe増設(2280)」の3点を押さえておくと迷いません。
スペック
| ■ Thundercomm RUBIK Pi 3 | |
|---|---|
| SoC | Qualcomm QCS6490(搭載SOM:TurboX C6490P SOM) |
| CPU | Arm Cortex-A78・Cortex-A55(コア構成の詳細は公式クイックスタート参照) |
| GPU | Adreno 643 |
| NPU | 最大12.5 TOPS |
| メモリ | 8GB LPDDR4x |
| ストレージ | 128GB UFS 2.2(オンボード)、M.2 Key MでNVMe(2280)増設対応 |
| ブート | UFS(オンボード、書き込み手順もUFS指定) |
| 有線LAN | RJ45 1GbE |
| 無線LAN・BT | Wi-Fi(802.11a/b/g/n/ac)・Bluetooth 5.2(オンボードアンテナ) |
| 映像出力 | HDMI 1.4(最大4K 30Hz)、USB-C(DP over USB-C 最大4K 60Hz、DP 1.4表記あり) |
| USB | USB 3.0 Type-A 2ポート、USB 2.0 Type-A 1ポート |
| 拡張 | M.2 Key M(PCIe 3.0 x2)、40-pin LSヘッダ(最大28 GPIOなど)、MIPI CSI 2基、PWMファン、RTC |
| サイズ | 100×75×25mm |
| 重量 | 未確認 |
| 電源 | USB-C PD 3.0(推奨 12V 3A) |
| 動作温度 | 0〜50°C |
| 対応OS | Qualcomm Linux・Debian・Android・Ubuntu(配布・案内あり) |
QCS6490+最大12.5 TOPSのNPU+128GB UFS 2.2内蔵を軸に、NVMe増設まで含めて「ストレージ前提」で組めるエッジAI向けSBCです。$99でNPU内蔵+UFS標準搭載という構成は、エッジAI入門としてはかなりコスパが高い。 電源がUSB-C PD(推奨12V 3A)前提である点と、UFSへの書き込み手順を事前に理解しておく必要がある点は、購入前に確認しておきたいポイントです。
特徴
SoC・CPUとGPU
RUBIK Pi 3のSoCはQualcomm QCS6490です。これはSnapdragon 778Gの派生にあたるチップで、元々スマートフォン向けに設計されたプラットフォームをIoT・エッジ向けに再パッケージした「Dragonwing」ラインの一員です。CPUはArm Cortex-A78(高性能コア)とCortex-A55(高効率コア)のbig.LITTLE構成で、推論パイプラインの前処理・後処理やI/O制御を回しつつ、重い推論はNPUに投げる設計が描きやすいタイプですね。
GPUはAdreno 643を搭載。Vulkan・OpenGL ES 3.2対応で、UI描画やGPGPU的な並列処理もSoC内で完結させやすいのが強みになります。デモ画面の構築や軽いCV前処理をGPUに振り分けるといった使い方も現実的です。
QCS6490自体は2021〜2022年頃から市場に出ているSoCなので、枯れた設計という見方もできます。一方でQualcommのIoT向けサポートが継続しているため、ドライバやBSPの成熟度という点では安心材料です。
NPU・AI性能(12.5 TOPS)
NPUは最大12.5 TOPSの表記があり、「AI用途のためのボード」として分かりやすいスペックです。QualcommのHexagon DSP+AIエンジン統合で、TensorFlow Lite・ONNX・SNPEなどを活用したエッジ推論に対応します。カメラ・センサー入力を受けて、ローカル推論して結果だけをネットワークに投げるような、いわゆるエッジAIの形に寄せやすいんですよね。
競合との比較を見てみると、代表的なのはRaspberry Pi 5+Hailo-8Lの構成です。Hailo-8Lは最大13 TOPSで、RUBIK Pi 3の12.5 TOPSとほぼ同等。ただしRaspberry Pi 5側が約70前後、合計99でNPU内蔵+UFS 128GB標準という構成なので、「最初から推論込みで組む」ならRUBIK Pi 3のほうがシンプルかつ安価です。
一方で汎用性はRaspberry Piのほうが圧倒的に高く、コミュニティやエコシステムの厚みも桁違い。エッジAI以外の用途も見据えるならRaspberry Pi 5、最初からAI推論一本で行くならRUBIK Pi 3という棲み分けが見えてきます。
他にもROCKCHIP RK3588搭載ボード(6 TOPS NPU)やGoogle Coral Dev Board(4 TOPS)などがありますが、12.5 TOPSクラスで$99はかなり攻めた価格設定といえます。
ストレージとブート(UFS前提)
ストレージは128GB UFS 2.2をオンボードで搭載しています。microSDカード運用が前提のSBCと違い、ログやデータセットをある程度見積もった上で、そのまま運用に入れるのがうれしいポイントです。
書き込み・復旧手順も公式ドキュメントで案内されており、手順中でターゲットストレージとしてUFSを指定して進める形になっています。ここが「手元のmicroSDに焼けばOK」ではないので、導入前に一度ざっと目を通しておくと安心です。
また、M.2 Key M(PCIe 3.0 x2)でNVMe(2280)を増設できます。データセットや録画ログなどが増える用途なら、ここで容量を足せるのはかなり実用的です。
拡張(M.2と40-pinヘッダ)
拡張はM.2 Key Mに加えて、40-pin LSヘッダが用意されています。最大28 GPIOやI2C・UART・SPI・I2S・PWMなどを扱える整理で、センサー系の試作にも寄せられます。
ただし、GPIOのロジック電圧の明記は未確認。電源ピンとして5V・3.3Vが用意され、各1Aの上限記述がある点は確認できますが、レベル互換の判断は実機・資料の追加確認が安全です。
M.2はPCIe 3.0 x2の表記があり、NVMe向けとして使えます。一方で、PCIeレーン共有や他I/Oとの排他条件は未確認なので、周辺機器を詰め込む用途は注意が必要です。
映像出力とI/O
映像出力はHDMI 1.4(最大4K 30Hz)と、USB-C経由のDP(最大4K 60Hz)が明記されています。机上での開発・デモなら十分ですが、同時出力やドライバ依存の制約は未確認なので、2画面前提の運用は事前検証が無難です。
入力側はMIPI CSI 2基の表記があり、カメラ2台を使った構成にも寄せられます(対応条件の詳細は未確認)。
ネットワークは1GbEとWi-Fi(802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.2。カメラ・センサー×推論の用途で、結果をサーバへ送る構成でも過不足がありません。
電源と冷却(USB-C PD 12V 3A推奨)
電源はUSB-C PD 3.0入力で、推奨は12V 3Aです。要件を満たさない場合に電源LEDが点灯せず起動しない旨が明記されているため、ここは最優先で合わせたいところです。
また、4-pin PWMファン端子が用意され、Raspberry Pi向けのPWMファンを流用できる旨の案内もあります。動作温度レンジは0〜50°Cの記載なので、筐体に収めて常時負荷をかけるなら冷却前提で見積もるのが安全です。
OSイメージ(Ubuntu・Debian・Androidなど)
公式ドキュメントにはSystem Imageページが用意され、Ubuntu・Linux・Android・Debianの配布や案内がまとまっています。UbuntuについてはCanonical側にもQualcomm IoT向けの配布案内があるので、まずはそこから入口を作るのがスムーズです。
一方で、Androidは配布物の表記からして開発途上に見える部分もあるため、用途に応じて成熟度の見極めは必要になります。
外観
上面(TOP)

USB-C(DP対応)とHDMI、USB-A群、40-pinヘッダ、M.2スロット位置まで一通り把握できます。配線計画では、電源がUSB-C PD(推奨12V 3A)である点を先に固定しておくと、トラブルが減って安心です。
下面(BOTTOM)

基板裏面の実装が見えるので、ケース設計や干渉チェックに役立ちます。取付穴の位置関係はデータシートの機械図(Figure 2-4)にまとまっていますが、本文では寸法の数値を断定しません(未確認)。
ポート面(PORTS)

RJ45、HDMI、USB-A、USB-Cが同一面に並び、机上の開発がやりやすいレイアウトです。 ただし電源はUSB-C PD入力なので、5V給電の感覚でつなぐと起動しない可能性があります。ここは本当に要注意ポイントです。
まとめ
RUBIK Pi 3は、QCS6490+最大12.5 TOPSのNPUを搭載し、さらに128GB UFS 2.2をオンボードで備える「ストレージ前提」なエッジAI向けSBCです。$99という価格でNPU内蔵+UFS標準搭載という構成は、このクラスではかなり攻めています。
最初からビジョンAIやセンサー推論などのエッジAI用途が明確な人や、microSD運用ではなくUFS+NVMeで信頼性の高いストレージ構成を組みたい人には最適です。また、Qualcomm SNPEやTensorFlow Liteでのエッジ推論を試したい、あるいは経験があるエンジニアにも強くおすすめできます。
逆に、Raspberry Pi感覚で5V電源を流用したい人(USB-C PD 12V 3A必須)や、汎用SBCとして多目的に使いたい人には、エコシステムと電源要件の面で不向きです。また、2.5GbE以上のネットワーク帯域を求める場合も、1GbEどまりの本機では力不足になるでしょう。
競合としてはRaspberry Pi 5+Hailo-8Lが挙がりますが、合計99でNPU+UFS込み。「NPU前提+UFS前提」という割り切りが刺さる人には、かなりコスパの高い選択肢です。
価格比較
| モデル | NPU性能 | ストレージ | 価格(参考) |
|---|---|---|---|
| RUBIK Pi 3 | 12.5 TOPS | 128GB UFS内蔵 | $99 |
| Raspberry Pi 5 + Hailo-8L | 13 TOPS | microSD別売 | $130〜150程度 |
| Orange Pi 5(RK3588S) | 6 TOPS | microSD/eMMC | $80〜100程度 |
| Google Coral Dev Board | 4 TOPS | eMMC 8GB | $130程度(入手性注意) |
※価格は参考値。税・送料別。
公式ページ上でAdd to cartによる直販が確認でき、表示例では$99、リードタイム(例:2〜4週)の表示がありました。
関連リンク
- 公式(発表):https://www.thundercomm.com/rubik-pi-3-at-ces-2025/
- 公式(製品ページ・直販):https://www.thundercomm.com/product/rubik-pi/
- 公式(RUBIK Pi 3 Documentation):https://www.thundercomm.com/rubik-pi-3/en/
- 公式(System Image一覧):https://www.thundercomm.com/rubik-pi-3/en/docs/image/
- 公式(Get Started:書き込み・復旧手順):https://www.thundercomm.com/rubik-pi-3/en/docs/rubik-pi-3-user-manual/1.0.0-a/get-started
- 公式(Quick Start:CPU・GPU・NPUなどの要点):https://www.thundercomm.com/rubik-pi-3/en/docs/rubik-pi-3-user-manual/1.0.0-a/quick-start
- 参考(Canonical Ubuntu:Qualcomm IoT):https://ubuntu.com/download/qualcomm-iot
