
FriendlyElecの「NanoPi M5」は、RK3576搭載で6 TOPS NPUと1GbE×2、M.2 NVMeスロットを備えた90×62mmの小型SBCです。USB-C(6〜20V、PD/DC)対応で設置の自由度が高く、ルータやNAS、エッジAI用途を考えている方に刺さる一台です。
FriendlyElecの「NanoPi M5」は、Rockchip RK3576を搭載した90×62mmの小型SBCです。6 TOPS NPUと1GbE×2のデュアルLAN、M.2 NVMeスロットを備えており、ルータ・NAS・エッジAI用途に刺さる構成なんですよね。
USB-C(6〜20V、PD/DC)対応で電源設計の自由度が高く、公式ストアではメモリ(4GB・8GB・16GB)や金属ケース同梱、UFS 2.0フラッシュモジュール(64GB・256GB)など構成違いのオプションも用意されています。
M.2 E-KeyがSDIO接続である点など拡張時の注意点はありますが、回路図公開やFriendlyWrt対応など「組み込み・自作派」にうれしいポイントが多い一台です。
スペック
| ■ NanoPi M5 | |
|---|---|
| CPU | Rockchip RK3576(Cortex-A72×4 最大2.2GHz + Cortex-A53×4 最大2.0GHz) |
| GPU | ARM Mali-G52 MC3 |
| NPU | 6 TOPS(INT8) |
| メモリ | 4GB LPDDR4X または 8GB・16GB LPDDR5(SKU選択) |
| ストレージ | microSD(UHS-I)、16MB SPI NOR、UFS 2.0(オプション)、M.2 M-Key NVMe |
| 有線LAN | 1GbE 2ポート |
| 無線LAN | M.2 E-Key(SDIO)でオプション対応 |
| 映像出力 | HDMI(最大4096×2304@60・1080p@120)、MIPI DSI 4-lane 1基 |
| カメラ入力 | MIPI CSI 4-lane 2基 |
| USB | USB 3.2 Gen1 Type-A 2ポート、USB-C(給電) |
| 拡張 | M.2 M-Key(PCIe 2.1 x1)、M.2 E-Key(SDIO)、30-pin GPIO |
| 電源 | USB-C(PD・DC対応、6〜20V) |
| サイズ | 90×62×1.6mm(8層ENIG) |
| 重量 | 約58g(ケース無し。金属ケース込みで約246gの記載あり) |
| ケース(オプション) | 金属ケース同梱オプションあり。ケース寸法は約94.5×68×30mmの記載あり |
| 動作温度 | 0〜70℃(周囲動作温度の記載あり) |
| 対応OS | Android 14・Debian・Ubuntu・FriendlyWrt・Buildroot・OMV等 |
6 TOPS NPU×1GbE×2×M.2 NVMe対応を90×62mmの8層基板にまとめた「実装寄り」のSBC。USB-C PD給電(6〜20V)で電源アダプタの選択肢も広く、デュアルLAN+NVMe構成を手軽に組みたい人にはおすすめですね。
特徴
SoC・CPUとNPU
NanoPi M5のSoCはRockchip RK3576で、Cortex-A72×4(最大2.2GHz)とCortex-A53×4(最大2.0GHz)の8コア構成です。GPUはMali-G52 MC3を搭載し、OpenGL ES 3.2・Vulkan 1.2・OpenCL 2.0に対応。NPUは**6 TOPS(INT8)**で、INT4/INT8/INT16/FP16/BF16/TF32の混合演算をサポートしています。

RK3576はRK3588のコストダウン版という位置づけで、VPUは8K@30fps(H.265/VP9/AVS2/AV1)デコードと4K@60fps(H.265/H.264)エンコードに対応。メディア処理からエッジAI推論まで視野に入る構成です。
NPU活用はOS・ドライバ・SDKに依存しますが、公式WiKiにはRKLLM(大規模言語モデル推論)の項目が用意されており、DeepSeek-R1-Distill-Qwen-1.5B・Qwen2.5・TinyLLAMAなどのモデル動作が確認されています。
競合との比較:
| 製品 | SoC | NPU | LAN | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| NanoPi M5 | RK3576 | 6 TOPS | 1GbE×2 | US$60〜 |
| Orange Pi 5 | RK3588S | 6 TOPS | 1GbE×1 | US$79〜 |
| Radxa ROCK 3C | RK3566 | 0.8 TOPS | 1GbE×1 | US$35〜 |
| Radxa ROCK 5A | RK3588S | 6 TOPS | 1GbE×1 | US$75〜 |
NanoPi M5は「1GbE×2+M.2 NVMe+回路図公開」という組み合わせで差別化しており、ルータ・NAS構築や組み込み開発に刺さりやすい構成なんですよね。Orange Pi 5やROCK 5Aより安価でデュアルLANを備えている点がうれしいポイントです。
メモリとストレージ
メモリは4GB LPDDR4Xまたは8GB・16GB LPDDR5から購入時に選択します。LPDDR5選択時はより高い帯域幅が期待でき、AI推論やメディア処理で有利ですね。
ストレージはmicroSD(UHS-I)、16MB SPI NOR、UFS 2.0(オプション)、M.2 M-Key(PCIe 2.1 x1、NVMe対応)と多彩です。microSDで起動→UFS・NVMeへシステム移行という運用が取りやすい構成で、公式WiKiにGetting Startedや復旧(Unbricking・Maskrom)手順がまとまっています。
外観

上面にはM.2スロット類とカメラ・ディスプレイ用のMIPIコネクタが配置されています。M.2 M-Key(SSD向け)とM.2 E-Key(SDIO Wi-Fi向け)は別物である点は、拡張計画で特に重要。E-KeyにPCIe接続のWi-Fiカードを挿しても動かないので注意してください。

下面側にはMASK・Recovery・Power・Userボタンとブートスイッチが配置されています。復旧時の操作は公式WiKiのUnbrickingセクションで詳しく説明されていますね。

ポート側は、USB-A×2(USB 3.2 Gen1)、1GbE×2、HDMI、USB-C給電がまとまっており、配線の取り回しは比較的シンプルです。USB-C(PD・DC対応、6〜20V)で給電できるため、PD対応アダプタやDC電源を選べる自由度の高さがうれしいポイントですね。
その他
ネットワーク
1GbE×2は、ルータ・ゲートウェイ、セグメント分離、簡易NASなどで扱いやすい構成です。2.5GbE前提の用途とは切り分けが必要ですが、多くのホームユースには十分なスペック。RTL8211F PHYチップ×2で安定性も期待できますね。
Wi-FiはM.2 E-Key(SDIO接続)経由でオプション対応です。E-Key=PCIe接続と決め打ちしないことが重要で、SDIO Wi-Fiモジュールを用意する必要があります。Android環境ではRTL8822CE(M.2)やRTL8821CU(USB)などの動作確認情報が公式WiKiにあります。
拡張
GPIOは30-pin 2.54mmヘッダで、I2C×3・SPI×2・UART×4・PWM×5・GPIO×20を露出しています。ロジックは3.3V、電源ピンは3.3V(最大500mA)・5V(最大1A)の出力が可能。周辺回路は3.3V前提で設計し、5V系は出力上限を超えないよう注意してください。
電源と冷却
電源はUSB-C(PD・DC対応、6〜20V)で、給電設計の自由度が高いです。公式WiKiでは15W以上のUSB-C PD充電器を推奨しており、OS書き込みや初期セットアップ時のトラブルを減らしやすいです。
5Vファン端子(ZH1.5-2A)を備えており、高負荷(AI推論・動画処理・NAS相当)を見込むなら、金属ケース・ヒートシンク運用やエアフロー確保を前提に計画するとよいでしょう。動作周囲温度は0℃〜70℃と記載されています。
まとめ
NanoPi M5は、RK3576×6 TOPS NPU×1GbE×2×M.2 NVMeという組み合わせがわかりやすく、ルータ・NAS・エッジAI用途に寄せた小型Linux SBCです。
デュアルLANとM.2 NVMeを活かして、ルータ・ゲートウェイや簡易NASを構築したり、6 TOPS NPUでRKLLM等のエッジAI推論を試したい人には非常に魅力的な選択肢です。回路図も公開されており、本気で組み込み開発に使いたいエンジニアにも刺さるでしょう。
一方で、M.2 E-KeyにPCIe Wi-Fiカードを挿したい人(SDIO接続のため非対応)や、PCIe 2.1 x1の帯域不足が気になる人、あるいは2.5GbE以上のネットワーク速度を必須とする用途には向きません。
価格比較
| 販売元 | 構成 | 価格(参考) |
|---|---|---|
| FriendlyElec公式 | 4GB LPDDR4X | US$60 |
| FriendlyElec公式 | 8GB LPDDR5 | US$79 |
| FriendlyElec公式 | 16GB LPDDR5 | US$109 |
| FriendlyElec公式 | 8GB + 金属ケース | US$99 |
| FriendlyElec公式 | 8GB + ケース + 64GB UFS | US$119 |
※価格は2025年時点の参考値。最新の価格・在庫は公式ストアで確認してください。
関連リンク
- 公式WiKi(製品ページ):https://wiki.friendlyelec.com/wiki/index.php/NanoPi_M5
- FriendlyElec公式ストア:https://www.friendlyelec.com/index.php?route=product/product&product_id=309
- 公式ダウンロード(OS・ツール):https://download.friendlyelec.com/NanoPiM5
- 回路図(LPDDR4X版):NanoPi_M5_LP4X_2411_SCH.PDF
- 回路図(LPDDR5版):NanoPi_M5_LP5_2411_SCH.pdf
- RK3576データシート:Rockchip_RK3576_Datasheet_V1.5
