
Hardkernelは「ODROID-C5」を発売しました。Amlogic S905X5M搭載で、省電力・低発熱とHDMI 2.0での4K@60出力を前面に出した39ドルのSBCです。PCIeなし・USB 3.0なしという割り切りがある一方、12V給電とヒートシンク不要設計で組み込み用途に向いた一台です。
HardkernelからODROID-C5が登場しました。Amlogic S905X5M搭載で、省電力・低発熱とHDMI 2.0での4K@60出力を前面に出した39ドルのSBCです。
「PCIeなし・USB 3.0なし」という割り切りがある一方、先代ODROID-C4比で約25%の消費電力削減と20〜25%の性能向上を達成しています。価格も54ドル→39ドルと約30%安くなっており、コストパフォーマンスは確実に改善されていますね。
12V給電とヒートシンク不要設計で、組み込み用途やデジタルサイネージに向いています。USB 3.0ストレージを主役にしたい用途には最初から別のSBCを検討すべきです。
スペック
| ■ ODROID-C5 | | | --- | --- | | CPU | Amlogic S905X5M(Quad-core Cortex-A55 最大2.5GHz) | | GPU | ARM G310 V2(0.85GHz) | | メモリ | DDR4 4GB(32-bit、3200 MT/s) | | ストレージ | microSDスロット(UHS-I SDR104)、eMMCソケット(HS400) | | 有線LAN | ギガビットEthernet(10・100・1000Mbps) | | 映像出力 | HDMI 2.0(最大4K@60、HDR・CEC・EDID対応) | | USB | USB 2.0 Type-A 4ポート、micro USB(OTG)1ポート | | 拡張 | 40-pin GPIO、UART、IR受光、アナログ音声ピン、補助電源2ピン | | サイズ・重量 | 85×56×22mm、約42g | | 電源 | DCジャック 5.5×2.1mm、7.5〜15.5V(推奨12V/2A) | | 対応OS | Android 14、Linux(配布ディレクトリあり) |
Amlogic S905X5M+4GB DDR4+HDMI 2.0 4K@60対応を、ODROID-C4互換の85×56mm基板にまとめた省電力SBCです。 先代C4より約30%安くなった39ドルで、省電力4K表示の入門に最適。 PCIeバスとUSB 3.0が非搭載のため高速I/Oを求める用途には向きませんが、4K表示・省電力・GbE接続を優先するなら筋の良い選択肢です。
特徴
SoC・CPU
ODROID-C5の心臓部はAmlogic S905X5Mです。Arm Cortex-A55の4コア構成で、最大2.5GHz動作。GPUはARM Mali G310 V2(0.85GHz)を搭載しています。
S905X5Mは、AmlogicのS905X3の後継にあたるSoCです。製造プロセスは非公開ですが、先進的な低電力プロセスで製造されたと公式に説明されています。Cortex-A55は省電力寄りのコアで、シングルスレッド性能を追求するよりも、ワットパフォーマンスを重視した設計ですね。

ODROID-C4(S905X3)との性能比較では、Hardkernelの公式ベンチマークで以下の数値が公開されています:
- 整数演算(Dhrystone-2): 約20〜25%向上
- 浮動小数点演算(Whetstone): 約20〜25%向上
- メモリ帯域(mbw): 約30%向上(DDR4 3200MT/s化の恩恵)
- 7-Zip圧縮: 約20〜25%向上
- eMMCストレージ(iozone): 約50%以上向上(HS400対応)
- 3D GPU(glmark2): 約2倍以上向上
これだけ性能が上がっていながら、消費電力は約25%削減されているのが驚きですね。
メモリはDDR4 4GB(32bit、3200MT/s)で、C4のDDR4 2666MT/sから帯域が約20%向上しています。メモリ容量は4GB固定で、8GBモデルの設定はありません。
NPU・AI性能
S905X5MにはNPU(ニューラルプロセッシングユニット)や専用のAIアクセラレータは搭載されていません。公式仕様表にも記載がなく、AI推論を高速化したい用途には向いていないです。
競合製品との比較では、同価格帯のSBCでNPU搭載モデルがいくつか存在します:
| 製品 | SoC | NPU性能 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| ODROID-C5 | Amlogic S905X5M | なし | $39 |
| Orange Pi 5 | Rockchip RK3588S | 6 TOPS | $89〜 |
| Radxa ROCK 4C+ | Rockchip RK3399-T | なし | $49 |
| Raspberry Pi 5 | BCM2712 | なし | $60〜 |
AI推論を本格的にやりたいならRK3588系を搭載したボードが選択肢になりますが、価格帯が異なります。ODROID-C5は「省電力4Kメディアプレーヤー」に振り切った製品として見るのが正解です。
電源と熱設計
電源は5.5×2.1mmのDCジャックで7.5〜15.5V、推奨は12V/2Aです。5V給電が前提のRaspberry Pi系とは流儀が違うので、既存の5V電源を流用しようとしている人は注意が必要です。加えて2ピンの補助電源入力も用意されています。
消費電力の実測値は以下のとおりです:
- アイドル時: 約1W(周辺機器なし)
- CPUストレス時: 約2.5W(Performanceガバナー、周辺機器なし)
- 電源オフ時: 約0.22W
これはODROID-C4比で約25%以上の電力削減です。
熱設計は「ヒートシンク不要」を前提に設計されており、Hardkernelのラインアップとしては初の「heatsink-free」モデルとして説明されています。ケース内で2時間超のストレス試験でもスロットリング問題がなかったと公式に明記されており、ファンレス・ヒートシンクレス運用が可能なのはうれしいポイントですね。
ストレージとブート
ストレージはmicroSDスロット(UHS-I SDR104対応)とeMMCソケット(HS400対応)の構成です。オンボードストレージは非搭載で、microSDまたはeMMCモジュールを別途用意する必要があります。
eMMCインターフェースがHS200からHS400にアップグレードされたのが地味に効いています。公式ベンチマークでは、ファイルシステムアクセス速度が50%以上向上したと報告されています。
公式eMMCモジュールの価格は以下のとおりです:
- 16GB: $13
- 32GB: $19
- 64GB: $29
- 128GB: $35
- 256GB: $49
拡張とI/O
ここで注意したいのが、ODROID-C5はPCIeバスとUSB 3.0がどちらも非搭載という点です。公式ストアに「SoC設計上の制約としてPCIeバスがない」と明記されています。M.2スロットも非搭載です。
これはS905X5Mというチップ自体の仕様で、ボード設計でどうにかできるものではありません。 USB 3.0ストレージを主役にしたミニNAS用途や、NVMe SSDを使いたい用途には最初から向いていません。逆に「USB 2.0で十分」「GbEで堅くつなぐ」用途なら割り切れます。
GPIOは40ピンヘッダがあり、GPIO電圧は公称3.1V、最大入力許容3.4Vと明記されています。3.3V前提の周辺機器やセンサーを接続する際は電圧レベルに注意してください。
公式の拡張ボードも豊富に用意されています:
- RS-485アドオンボード: $8
- オーディオアンプボード: $10
- 4Chリレーボード: $12
- 4Ch FETボード: $8
- 2Ch DCモータードライバーボード: $8
- ODROIDライトボード: $8
これらの拡張ボードはODROID-C4と互換性があり、既存資産を流用できるのがうれしいですね。
ネットワークと映像
ネットワークはGbE(10・100・1000Mbps)対応で、リンク速度別のLED挙動も仕様表に記載があります:
- 緑LED: 100Mbps接続時にデータトラフィックで点滅
- 橙LED: 1000Mbps接続時にデータトラフィックで点滅
映像出力はHDMI 2.0で最大4K@60Hz、HDR・CEC・EDID対応です。AV1 4K HDR10の動画再生にも対応しており、公式デモ動画ではGStreamerを使った4K HDR再生が披露されています。
GPUがMali G310 V2にアップグレードされたのも大きなポイントです。Vulkan APIに対応しており、公式によると3D GPU性能はODROID-C4比で2倍以上向上しています。Android 14でのGod of War(PSPエミュ)がHD品質・2倍解像度で動作するデモも公開されています。
対応OS
公式サポートOSは以下のとおりです:
- Android 14: 公式配布ディレクトリで提供
- Ubuntu: Wayland Gnome環境でVulkan GPU対応
- Yocto OS: 10秒以下の高速ブートを実現したデモあり
外観

基板上面ではSoC(Amlogic S905X5M)とメモリ(DDR4 4GB)の実装位置が確認できます。右側にDCジャック・HDMI・micro USB(OTG)が並び、左側にRJ45とUSBポート群がまとまる配置です。
CPU周辺の「汚れ」のように見える部分はBGAアンダーフィル処理の痕跡です。BGAアンダーフィルは、BGAとPCBの間に熱硬化性エポキシ樹脂を充填する工程で、はんだ接合部の信頼性向上と放熱性改善に寄与しています。見た目は気になるかもしれませんが、品質上は問題ありません。

RJ45(GbE)とUSB Type-A群、HDMI、DCジャックが同一エッジ側に集中しています。I/Oが片側に寄るため、壁面固定の筐体や配線を短くまとめたい用途では扱いやすい配置です。ODROID-C4とコネクタ位置が同一なので、C4向けのケースや多くの拡張基板を流用できる点もうれしいポイントです。
micro USBはOTG用途として記載されており、給電端子としては使用できません。
まとめ
ODROID-C5は、S905X5M+4GB DDR4を軸に「省電力・低発熱」と「HDMI 2.0での4K@60」を前面に出したSBCです。
4K表示・省電力・GbE接続を優先するシナリオや、デジタルサイネージ、メディアプレーヤーとして使うには最適な一台です。また、軽量なホームサーバーや組み込み端末、あるいは12V給電で統一したいシステムにも適しています。
一方で、USB 3.0ストレージやNVMe SSDを高速に使いたい場合や、NPU・AIアクセラレータを活用する用途には不向きです。また、5V給電でシステムを統一したい場合も、電源要件が合わないため注意が必要です。
ODROID-C4からの買い替えを検討している方にとっては、約30%の価格ダウン、25%の省電力化、20〜25%の性能向上という三拍子が揃った正当進化モデルですね。高速I/Oが不要なら、C4からの乗り換えはおすすめです。
価格表
| 販売元 | 製品 | 価格 |
|---|---|---|
| Hardkernel公式 | ODROID-C5 | $39.00 |
| Hardkernel公式 | ODROID-C4(参考・先代) | $54.00 |
| Hardkernel公式 | C4/C5用ケース(黒) | $5.40 |
| Hardkernel公式 | 12V/2A電源 | $5.50 |
| Hardkernel公式 | 32GB eMMCモジュール | $19.00 |
※ 税金・関税・通関等は別途発生する可能性があります。
関連リンク
- 公式ストア(製品ページ):https://www.hardkernel.com/shop/odroid-c5/
- 公式サイト(トップ):https://www.hardkernel.com/
- 公式Wiki:https://wiki.odroid.com/odroid-c5/odroid-c5
- 公式配布(Android 14イメージ):https://dn.odroid.in/S905X5M/ODROID-C5/Android/
- ODROID-C4製品ページ(先代比較用):https://www.hardkernel.com/shop/odroid-c4/
