
ESWIN EBC77 Seriesは、EIC7700X SoCを搭載したRISC-V SBCです。4コア1.8GHzのRISC-V CPUと20 TOPSのNPUを備え、Ubuntu 24.04 LTS公式サポート。Raspberry Pi互換の40ピンヘッダーやPCIe Gen3も搭載し、エッジAI開発に最適な一台です。
ESWIN ComputingのEBC77 Seriesは、RISC-V+NPU+Ubuntuという注目の組み合わせを実現したSBCです。2025年7月のRISC-V Summit Chinaでデビューし、CanonicalがUbuntu 24.04 LTS対応を公式発表しました。
搭載するEIC7700X SoCは、4コア1.8GHzのRISC-V CPUと20 TOPSの自社開発NPUを統合。DeepSeekのデモも披露されており、エッジAI開発のプラットフォームとして期待が高まっていますね。
Raspberry Piライクなフォームファクターに、PCIe Gen3 x4やMIPI CSI/DSIなど本格的なI/Oを備えているのもうれしいポイント。RISC-VでAIを試したい開発者にとって、かなり刺さる一台なんですよね。
スペック
| ■ ESWIN EBC77 Series | |
|---|---|
| SoC | ESWIN EIC7700X |
| CPU | RISC-V 4コア OoO、最大1.8GHz |
| NPU | 自社開発、最大20 TOPS |
| メモリ | 64-bit LPDDR5 6400Mbps(容量未確認) |
| ストレージ | 8MB SPI NOR Flash / microSDスロット |
| 無線LAN | 802.11ac デュアルバンド Wi-Fi(オンボード) |
| 有線LAN | ギガビットイーサネット(RJ45) |
| 映像出力 | Micro HDMI / 4レーン MIPI DSI TX |
| カメラ | 4レーン MIPI CSI RX ×2(1ポートはDSIと排他) |
| USB | USB 3.2 Gen1 ×2 / USB 2.0 ×2 |
| 拡張 | PCIe Gen3 x4(FPCスロット)/ 40ピンGPIOヘッダー |
| サイズ | Raspberry Pi互換サイズ(詳細未確認) |
| 電源 | USB Type-C |
| 対応OS | Ubuntu 24.04 LTS(公式サポート) |
20 TOPS NPUとPCIe Gen3を備えたRISC-V SBC。エッジAI開発の本命候補です。
特徴
SoC・CPUの詳細
EBC77 Seriesに搭載されるEIC7700X SoCは、ESWIN Computingが開発したRISC-Vベースのチップです。4コアの64-bit OoO(Out-of-Order)プロセッサで、最大動作周波数は1.8GHz。Out-of-Orderとは命令の実行順序を動的に並べ替えて効率化する方式で、単純なIn-Orderプロセッサより高いIPCが期待できます。
1.8GHzという数字だけ見ると控えめに感じるかもしれませんが、RISC-Vアーキテクチャでこのクラスのプロセッサが手に入るのは大きな進歩ですね。参考までに、同じくRISC-V SBCのVisionFive 2(JH7110)が1.5GHz 4コア、Milk-V Jupiter(SpacemiT K1)が1.6GHz 8コアなので、クロック面では同等以上のポジションです。
ただし、Arm系のRaspberry Pi 5(Cortex-A76 2.4GHz)やOrange Pi 5 Plus(RK3588)と比べると、絶対的なCPU性能では劣ります。EBC77 Seriesの強みはCPU単体ではなく、NPUとの組み合わせにあると考えるべきでしょう。
NPU・AI性能
EIC7700XのNPUは最大20 TOPSの推論性能を持ちます。ESWINが自社開発したもので、RISC-V Summit Europe 2025では実際にDeepSeekを動作させるデモが披露されました。
20 TOPSという数字を競合と比較してみましょう。
| 製品 | NPU性能 | CPU | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| ESWIN EBC77(EIC7700X) | 20 TOPS | RISC-V 4コア 1.8GHz | 未確認 |
| Raspberry Pi 5 + Hailo-8L | 13 TOPS | Arm 4コア 2.4GHz | 約$100+ |
| Orange Pi AI Max(RK3588) | 6 TOPS | Arm 8コア 2.4GHz | 約$200 |
| DC-ROMA RISC-V AI PC | 50 TOPS | RISC-V(詳細未確認) | 未確認 |
| Milk-V Jupiter(K1) | NPUなし | RISC-V 8コア 1.6GHz | 約$100 |
20 TOPSはRaspberry Pi 5にHailo-8Lを追加した構成を上回る数値で、SBC単体としてはかなり優秀ですね。同じESWINが関わるDC-ROMA(50 TOPS)には及びませんが、あちらはデスクトップPC向けの上位製品です。
NPUのソフトウェアサポートについては、ESWIN公式GitHubでEssdk(ESWIN SDK)のdebパッケージが提供されています。ffmpegのハードウェアアクセラレーションにも対応しているようで、動画処理のワークロードでも活用できそうです。
メモリ・ストレージ
メモリは64-bit LPDDR5、6400Mbpsの高速仕様です。容量は公式情報で明記されていませんが、エッジAI用途を考えると8GB以上は欲しいところ。この点は発売時の詳細を待ちましょう。
ストレージはオンボード8MB SPI NOR FlashとmicroSDスロットの構成。SPI Flashにはブートローダーが書き込まれ、Ubuntu本体はmicroSDから起動する仕組みです。
公式GitHubではSanDisk Ultra(32GB/64GB/256GB A1)やKingston SDCS2が動作確認済みとして挙げられています。microSD起動のSBCでは定番の選択肢ですね。
ブート・OS
Ubuntu 24.04 LTS向けのイメージと導入手順は、ESWIN公式GitHub(ebc7700-sbc-ubuntu)で提供されています。Canonicalとの協業による公式サポートなので、長期的なセキュリティアップデートも期待できます。
ブート手順は以下の流れです:
- USB Type-CとMicro USB(シリアルコンソール用)を接続
- USBメモリにブートローダーとUbuntuイメージを配置
- U-Bootからブートローダーをフラッシュ
- microSDにUbuntuイメージを書き込み
- 再起動してUbuntuを起動
初期ユーザー名とパスワードはubuntuで、初回ログイン時にパスワード変更を求められます。HDMIとMIPI DSIの切り替えもdtbファイルの差し替えで対応可能です。
I/O・拡張
I/O周りは想像以上に充実しています。
映像出力はMicro HDMIと4レーンMIPI DSI TX。Raspberry Pi 7インチディスプレイとの接続も公式FAQで案内されており、タッチパネル付きの組み込みUIも構築できます。
カメラ入力は4レーンMIPI CSI RXが2ポート。ただし1ポートはDSIと排他になるため、同時に2カメラを使う場合はHDMI出力のみとなります。IMX219センサー(Raspberry Pi Camera Module互換)の設定例がGitHubで公開されていて、2レーン/4レーンの両方に対応しているのがわかります。
PCIe Gen3 x4はFPCスロットで提供されています。NVMe SSDの接続や、より高速なネットワークカードの増設に使えそうですね。ギガビットイーサネットが物足りない場合の拡張オプションとして有用です。
USBは3.2 Gen1が2ポート、2.0が2ポート。USB 3.2 Gen1は5Gbpsなので、外付けSSDやUSBカメラにも十分な帯域があります。
40ピンGPIOヘッダーはRaspberry Pi互換レイアウト。I2C、I2S、UART、汎用GPIOが出ており、センサーやHATの流用がしやすい設計です。
無線LANはオンボードで802.11acデュアルバンドWi-Fiモジュールを搭載。Bluetoothについては未確認ですが、Wi-Fiモジュールに統合されている可能性があります。
電源・冷却
電源入力はUSB Type-Cです。消費電力や必要なアンペア数は公式情報で明記されていませんが、20 TOPS NPUを搭載していることを考えると、5V 3A以上のアダプタが推奨されるでしょう。
冷却方式については、基板写真を見る限りパッシブ冷却(ヒートシンク)が基本のようです。NPUを高負荷で使う場合は別途ファンの追加を検討してもよいかもしれません。
外観
Canonical公式ブログに基板全景の画像が掲載されています。Raspberry Piと同等サイズのコンパクトな基板に、主要チップやコネクタが配置されているのがわかります。
40ピンヘッダーが端に配置されているのはRaspberry Piと同じレイアウト。既存のケースやHATがそのまま使えるかは実機確認が必要ですが、寸法的には互換性がありそうです。
基板下面やポート周りの詳細画像は現時点では公開されていません。
まとめ
ESWIN EBC77 Seriesは、RISC-V+20 TOPS NPU+Ubuntu 24.04 LTSという独自の組み合わせが魅力のSBCです。Raspberry Pi互換サイズに本格的なAI推論能力を詰め込んでおり、エッジAI開発者にとって非常に興味深い選択肢ですね。
RISC-V+Ubuntuの環境でAI推論や開発を試したい方や、NPU搭載SBCでエッジAI製品のプロトタイピングを進めたい方にとっては、非常に魅力的なプラットフォームです。オープンなRISC-Vエコシステムを応援したいアーリーアダプターにとっても、触りがいのある一枚と言えるでしょう。
一方で、CPU性能重視でRaspberry Pi 5以上を求めている場合や、2.5GbE/10GbEといった高速ネットワークが必要な用途には向きません。また、現時点では海外通販がメインとなるため、国内での即時入手性を重視する方も注意が必要です。
価格
| 販売チャネル | 価格 | 備考 |
|---|---|---|
| Amazon(米国) | 未確認 | ASIN: B0FGH7GYSB |
| 淘宝(Taobao) | 未確認 | 中国国内向け |
※価格は2025年12月時点で未公開。公式発表を待ちましょう。
