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Fogwise AIRbox Q900:200TOPS級のエッジAIボックス

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Fogwise AIRbox Q900:200TOPS級のエッジAIボックス

Radxa(Fogwise®)は2025年9月30日付で「Fogwise AIRbox Q900」の正式リリースを案内しました。Qualcomm Dragonwing IQ-9075搭載で最大200TOPS(INT8 sparse)のNPU性能を備え、36GB ECCメモリ・2.5GbE×2・SIM運用に対応した、現場で推論を完結させたい用途に刺さるエッジAIボックスです。

Radxa(Fogwise®)は2025年9月30日付でFogwise AIRbox Q900の正式リリースを案内しました。公式ページおよびドキュメントに製品情報が掲載されています。

本機はQualcomm Dragonwing™ IQ-9075搭載で、最大200TOPS(INT8 sparse)のNPU性能を備えたエッジAIボックスです。「クラウドに投げずに現場でAI推論を回したい」「有線2.5GbE×2やSIM運用など現場の配線事情に強い箱がほしい」——この条件に刺さる一台ですね。

一方で、Qualcomm系のツールチェーン(QAIRTなど)に寄せた最適化が前提となる点は購入前に確認しておくべきです。CUDA資産をそのまま持ち込みたい場合は、Jetson系との比較検討をおすすめします。

目次

スペック

■ Fogwise AIRbox Q900
プロセッサQualcomm Dragonwing™ IQ-9075(Kryo Gen6 8コア 最大2.36GHz)+Cortex-R52 4コア(最大1.85GHz)
GPUAdreno 663(最大1.2 TFLOPS FP32)
NPUDual Hexagon NPU(最大200 TOPS@INT8 sparse)
メモリ36GB LPDDR5(96-bit、6400MT/s、ECC)
ストレージ128GB UFS 3.1(オンボード)+32MB SPI Flash
拡張性M.2 M Key 2230(PCIe Gen4 x4)・Mini PCIe(Wi-Fiや4G/5Gモジュール)・Nano SIM・UFS/eMMCモジュール
ネットワーク有線:2×2.5GbE(TSN対応)、無線:Mini PCIe経由でWi-Fi 6・BT 5.4、または4G/5G+Nano SIM
映像出力HDMI 2.0(最大4K@60)1基
USBUSB 3.1 Gen2 Type-A HOST×1、USB 3.1 Gen2 Type-A OTG×1、USB-C(シリアルコンソール・デバッグ)
サイズ104×84×45mm
電源DC 12V入力(推奨12V/5.4A)
対応OSUbuntu・Yocto対応。RadxaOS(Debian/Ubuntuベース)関連のドキュメントあり

200TOPS級NPU+36GB ECCメモリを104×84mmに収めた、現場向けエッジAIの本命候補。

2.5GbE×2やSIM運用に対応した金属筐体で、産業用途にしっかり振った構成です。重量は未確認。付属品も一次情報では確認できませんが、Quick Startでは「12V DC電源、HDMIケーブル、Ethernet等を準備」と案内されています。

特徴

プロセッサとNPU

IQ-9075の立ち位置が面白いんですよね。スマホ系SoCの延長ではあるんですが、ここでは「現場の箱」としてCPU・GPU・NPUをまとめて使う前提が強いです。最大200TOPS(INT8 sparse)をうたうDual Hexagon NPUがあり、推論を端末側で完結させたい用途に寄せています。

Fogwise AIRbox Q900 製品外観
参考:Radxa 公式製品ページ

競合との比較で言うと、NVIDIA Jetson Orin NX 16GB(100TOPS)の約2倍のピーク性能を謳っていますが、実効性能はモデル最適化次第です。Jetson系は「CUDA一強のわかりやすさ」があるのに対し、本機はQualcomm系のツールチェーン(QAIRTなど)への習熟が前提。既存資産がCUDA寄りかどうかで難易度が変わる点は、購入前にちゃんと織り込むのが安全ですね。

メモリとストレージ

メモリは36GB LPDDR5+ECC。ここ、個人的にはかなり好印象です。エッジ用途って24/7運用や温度条件が絡むので、ECC(エラー訂正)に価値が出やすいんですよ。

ストレージはオンボード128GB UFS 3.1が標準で、さらに**M.2 2230 NVMe(PCIe Gen4 x4)**を足せます。NVMeは公式の案内として「電源断→挿してネジ固定」という手順が明記されていて、ユーザー増設の根拠が取りやすいのもうれしいポイントです。

実用イメージとしては、OSはUFS側に置いて、NVMeを「ログ・データセット・モデル置き場」にするのが素直ですね。監視カメラのメタデータ、工場ラインの推論ログ、ローカルLLMのキャッシュなど、溜まる系はNVMeに逃がすと運用がラクになります。

生成AI性能

公式ページでは、ローカルでGPT・LLaMA・Stable Diffusionを動かす文脈が明確に示されています。例としてLLaMA-7Bでfirst token約0.6秒、以降約12 tok/sという記載があります。

Fogwise AIRbox Q900 内部構造
参考:Radxa 公式製品ページ

競合比較としては、Jetson Orin NX 16GB(100TOPS)でLLaMA-7Bを回すと概ね8〜10 tok/s程度と言われており、本機の12 tok/sはやや上回る水準です。ただしこれはモデル量子化やメモリ割当、熱条件で大きく変わるので、「200TOPS=何でも爆速」とは限りません。

逆に言うと、うまくハマればクラウド往復なしで「現場で答えが返る」体験は作れます。用途としては「軽量LLMの現場回答」「画像分類・検知」「簡易な生成(検証・デモ)」あたりが現実的な落としどころでしょう。

外観

Fogwise AIRbox Q900 背面I/O
参考:Radxa 公式製品ページ

ポート面はかなり実務寄りで、DC12V入力、USB、2×2.5GbE、USB-C(シリアルコンソール・デバッグ)、HDMI 2.0、SIMスロット、EDLボタン等が整理されています。「デバッグ前提のUSB-C」や「EDL(緊急書込み)系の導線」が最初から用意されているのは、量産・現場展開で効きますね。

Fogwise AIRbox Q900 トップ面
参考:Radxa 公式製品ページ

トップ面はファン位置が分かりやすく、放熱フィンと合わせて「熱を逃がす導線」が読み取れます。静音性は運用条件次第ですが、少なくとも冷却をソフト任せにしていないのは好感です。箱物AIは熱で性能が揺れがちなので、ここをちゃんと作っているのは地味に重要なんですよ。

その他

ネットワーク

ネットワーク周りが実務的で、**2.5GbE×2(TSN対応)**が刺さる現場は多いはずです。単純に1GbE比で最大2.5倍の帯域を取れるだけでなく、系統分け(例:上位NWと機器NW)もしやすい。

無線やセルラーはMini PCIeスロットで、Wi-Fi 6・BT 5.4カードまたは4G/5Gモジュールを選ぶ構成です。Nano SIMスロットの説明も公式にあります。ここは「買って終わり」じゃなくて、用途に合わせて通信を作り込める余地があるのがうれしいところですね。

電源と冷却

電源入力はDC 12V(推奨12V/5.4A)。消費電力の実測は運用条件次第で変動しますが、公式ブログでは「通常約20W」との記載があります(条件は要確認です)。

冷却は金属筐体+PWMファンの「箱として正しい」構えです。派手さはないんですが、24/7を意識するならこの方向が安心です。

まとめ

Fogwise AIRbox Q900は、見た目どおり「現場でAIを回す箱」に寄せたプロダクトです。200TOPS級のNPU、36GB ECCメモリ、UFS+NVMe拡張、2.5GbE×2、SIM運用と、エッジ案件で揉まれやすい要件が最初から揃っています。

クラウドに投げずに現場で推論を回したい人や、有線2.5GbE×2やSIM運用など現場の配線事情に強い箱を探している人にとっては、理想的な選択肢になるでしょう。

一方で、CUDA資産をそのまま持ち込みたい人にとっては、Qualcomm系の最適化が必要になる点がハードルです。また、ワンクリックで生成AIを爆速で動かしたいといった手軽さを求める人にも、調整の手間を考えると不向きかもしれません。

個人的な感想としては、スペックよりも「I/Oと運用導線がちゃんとしている」点に好感があります。逆に、同梱物や重量など「購入時に知りたい情報」が一次情報で見えにくい部分は惜しいので、そこは販売店ページで詰めてから買うのが安全ですね。

製品名NPU性能(INT8)メモリ価格帯(参考)
Fogwise AIRbox Q900最大200TOPS sparse36GB ECC要確認(Arace Tech)
NVIDIA Jetson Orin NX 16G100TOPS16GB約$599〜(モジュール)
NVIDIA Jetson AGX Orin275TOPS32/64GB約$999〜(開発キット)
販売元価格(参考)
Arace Tech要確認(価格は変動)

関連リンク