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Kontron 2.5"-SBC-AML/ADN:2.5GbE×2搭載の100×72mm SBC

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Kontron 2.5"-SBC-AML/ADN:2.5GbE×2搭載の100×72mm SBC

KontronはPico-ITX(100×72mm)サイズのシングルボードコンピュータ「2.5"-SBC-AML/ADN」を展開しています。Intel Atom x7000(R)EやCore i3-N305、N97などを搭載でき、2.5GbE×2と3画面4K出力、M.2×2による拡張性を備えたエッジゲートウェイ向けの小型SBCです。

KontronはKontron 2.5"-SBC-AML/ADNを展開しています(発表は2024年10月7日、サンプル提供は2024年11月予定と案内)。公式ページに製品情報・データシートが掲載されています。

本機はPico-ITX(100×72mm)のシングルボードコンピュータで、Intel Atom x7000(R)EやAlder Lake-N系(Core i3-N305やN97など)を搭載可能。2.5GbE×2と3画面4K出力、M.2×2といった拡張性を小型基板に詰め込んだエッジゲートウェイ向けのSBCです。

メモリやeMMCがオンボードなので「後からメモリを盛って延命」という運用には向きません。最初の容量設計が重要になりますね。

目次

スペック

■ Kontron 2.5"-SBC-AML/ADN
CPUIntel Atom x7211RE/x7433RE/x7835RE、Intel Core i3-N305、Intel N97 ほか(SKUにより)
GPUIntel UHD Graphics(Gen12)。Deep Learning Boost等によるAI推論強化は言及あり、専用NPU搭載は未確認
メモリLPDDR5 4800、4/8/16GB(オンボード)
ストレージeMMC 32/64/128GB(オンボード)
拡張スロットM.2 Key B(2242/3042/3052/2280、PCIe x2/USB2.0/SATA/UIM)、M.2 Key E(2230、PCIe x1/USB2.0/CNVi)+SIMカードホルダ
有線LAN2×2.5GbE(RJ45、Intel I226-V/IT)。Atom系はTSN対応の注記あり
映像出力eDP×1、DP×1、USB-C(DP Alt)×1で最大3画面(4096×2160@60)
USBUSB 3.2(Type-A/Type-C)。USB-CはDP Alt+PD 5V/3A対応
シリアル2ポート(RS232/422/485オプション)
その他I/ODI/DO、TPM 2.0
電源DC 9〜20V入力、CPU TDPは概ね6〜15W(SKUにより)
サイズ100×72mm(Pico-ITX)
OSWindows 10/11、Linux

2.5GbE×2・3画面4K出力・M.2×2をクレカより一回り大きい程度の100×72mmに詰め込んだPico-ITX SBC。エッジゲートウェイや小型産業PCの「土台」として、I/Oと拡張性のバランスが光ります。ただしメモリ・eMMCがオンボードなので、容量要件は最初に固めておく必要がありますね。

特徴

SoC・CPU

このシリーズのわかりやすいポイントは、「低消費電力帯のIntel CPUを用途で選べる」ことです。Atom x7000(R)E系(Amston Lake)やAlder Lake-N系(Core i3-N305やN97など)のバリエーションが並び、TDPレンジとしては概ね6〜15Wが想定されています。

**Atom x7000RE系はIntelの「産業向けEコア専用ライン」**として位置付けられており、Alder Lake-Nとは設計思想が異なります。N97やi3-N305がコンシューマ寄りの汎用プロセッサなのに対し、x7211RE/x7433RE/x7835REは産業温度対応(-40〜+105℃)と長期供給(15年)を前提とした設計。TSN(Time-Sensitive Networking)やTCC(Time Coordinated Computing)への対応も明記されており、リアルタイム性が求められる工場自動化やエッジAIゲートウェイでの採用を強く意識しています。

性能面でざっくり整理すると、i3-N305(8コア/TDP 15W)が最も処理性能が高く、汎用用途ならこれが第一候補。N97(4コア/TDP 12W)はコストと性能のバランス型。x7835RE(8コア/TDP 12W)は産業温度・長期供給を重視しつつi3-N305に近い性能を狙える選択肢、という感じですね。

NPU・AI性能

AI用途についても「速いAI推論」がうたわれていますが、ここは誤解しやすいところなんですよね。専用NPUが載っている、というよりは、CPU側の命令(Deep Learning Boostなど)やiGPU(Intel UHD Graphics Gen12)を活用して推論を回す前提と読むのが自然です。専用AIアクセラレータの搭載は仕様としては確認できていません。

競合と比較すると、**Rockchip RK3588搭載ボード(6 TOPS NPU内蔵)やAMD Ryzen AI搭載機(最大16 TOPS)**がエッジAI分野では存在感を増しています。本機はNPUを持たないため、ローカルでの画像認識や音声処理といったAIワークロードでは、これらの競合に対して不利な面があります。

ただし、本機の強みは産業温度対応・長期供給・TSN対応といった「信頼性・堅牢性」の部分。AIゲートウェイとして使う場合も、推論自体はクラウドや上位サーバに任せて、本機は「データ収集・前処理・通信」に徹するアーキテクチャなら、NPU非搭載は大きなデメリットにはなりません。用途に応じた使い分けが重要ですね。

Kontron 2.5-SBC-AML/ADN(製品イメージ)
参考:Kontron 公式製品ページ

実務目線だと、N97やi3-N305は「汎用処理+軽めの推論+マルチ画面」のバランス型。x7000RE系は「産業温度・長期供給・リアルタイム寄りの要件」に寄せたいときに検討しやすい印象です。TSNやTCCなどの言及があるため、時間に厳しい産業用途での採用を意識した設計と言えますね。

メモリとストレージ

メモリはLPDDR5のオンボード(4/8/16GB)です。これは「増設しにくい」一方で、コネクタ接点が減るぶん耐振動・耐衝撃に利く、という産業向けの定番トレードオフですね。

ストレージもeMMC(32/64/128GB)オンボードなので、OS領域を固定して堅牢にしたい用途には向きますが、容量の伸びしろはM.2側に寄せる設計になります。

拡張はM.2が本命で、Key B(SSD・WWANなど)とKey E(WLAN・BTなど)を用意。Key BはPCIe x2やSATAにも触れているので、設計の自由度は高めです。実用例としては、eMMCにOS+ログ最小限、M.2 SSDにアプリやログを逃がす構成や、Key EでWi-Fi/BT、Key BでLTE/5G WWANといった「エッジ機器の王道構成」が組みやすいです。

逆に、後からメモリ増設して延命するタイプの運用には向きにくいので、最初の容量設計が重要になりますね。

ネットワークと映像

ネットワークは2.5GbEが2口。Intel I226-V/ITコントローラ採用で、1GbE比で単純計算で約2.5倍の帯域を取りやすく、NASやサーバ側が追従できる環境なら、映像ストリームやログ吸い上げの「詰まり」が減ります。Atom系SKUではTSN対応の注記があり、工場ネットワークでの時刻同期や優先制御が必要な場面でも対応できるのはうれしいポイントです。

映像はeDP(内部)+DP(外部)+USB-C(DP Alt)で最大3画面。たとえば「DPで4K60、USB-C(DP Alt)で4K60、内部eDPで4K60」のような構成が仕様上は想定できます。サイネージやマルチモニタ用途にも対応しやすいですね。

I/OはUSB 3.2(Type-A・Type-C)に加えて、シリアル(2ポート、RS232/422/485オプション)やDI/DOも用意されていて、産業機器の「現場接続」をきちんと拾いに行っている構成です。セキュリティ面ではTPM 2.0の記載があり、デバイス認証や鍵管理をハードウェアでやりたい案件には安心材料になります。

外観

ボードはPico-ITX(100×72mm)で、クレカより一回り大きい程度のサイズ感です。小型筐体に組み込みやすい反面、「熱」と「ケーブル取り回し」は先に設計しておくのがコツですね。

Kontron 2.5-SBC-AML/ADN(スターターキット例)
参考:Kontron 公式製品ページ

ケーブル類、ブラケット、ACアダプタ、ヒートシンク、スペーサ類が一式で見えるので、「立ち上げ時に何が必要か」が把握しやすいです。SBC単体だと地味に困る「固定具・配線」が最初から揃うのは、PoCや評価ではかなり助かりますね。一方で、キット内容はSKUや地域で変わる可能性があるので、発注時の同梱確認は必須です。

Kontron 2.5-SBC-AML/ADN(USB 2.0外出しブラケット例)
参考:Kontron 公式製品ページ

基板上ヘッダのUSBを、筐体背面に普通のUSB-A×2として出せるブラケットも別売りで用意されています。小型筐体は背面I/Oの穴あけがシビアになりがちなので、こういう「部材で逃がす設計」が現実的だったりします。ただし、これは増設例で、標準の背面I/O(DP・USB-C・2.5GbEなど)は前掲の製品画像側で確認するのが確実です。

Kontron 2.5-SBC-AML/ADN(ヒートシンクキット例)
参考:Kontron 公式製品ページ

このサイズのSBCは、ケース設計と熱がセットなので、評価段階からサーマル部材を見積もるのが安心です。なお、基板の表・裏やM.2配置がわかる公式写真は本記事作成時点では確認できておらず、冷却部材画像で代替しています。

まとめ

Kontron 2.5"-SBC-AML/ADNは、「小型ボードなのに2.5GbE×2と3画面4Kを押さえ、M.2×2で拡張もできる」というところがエッジゲートウェイや小型産業PCの「土台」としてかなり刺さりますね。

向いているのは、映像・サイネージ+ネットワークが太い案件、シリアルやDI/DOが必要な現場機器、長期供給・温度要件が絡む産業用途。

逆に向きにくいのは、「後からメモリやストレージを盛って延命したい」運用です。LPDDR5・eMMCオンボードは堅牢さの代償として割り切りが要ります。

個人的には、オンボードメモリは硬派で好きなんですが、PoCの段階で容量要件がブレるプロジェクトだと途端にリスクにもなります。M.2拡張で逃げられる範囲と、逃げられない範囲(メモリ)は最初に線引きして選ぶのが、いちばん後悔が少ないと思いますね。

販売元価格(参考)
Kontron要問い合わせ(公式ページ
Mouser Electronics要問い合わせ(製品検索で「2.5-SBC-AML」検索)

※価格は為替・在庫状況により変動します。最新情報は各販売元にお問い合わせください。

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