
IBASEはNXP i.MX 93搭載の2.5インチSBC「IBR300」をラインアップしています。デュアルGbEやロック付き12〜24V入力、-40〜+85°C対応のファンレス設計など、装置組み込みを意識した仕様が特徴です。Ethos-U65 microNPUも搭載し、エッジAI用途にも対応します。
IBASEはNXP i.MX 93搭載の2.5インチSBC IBR300をラインアップしています。公式製品ページには、I/Oや環境条件を含む仕様と画像が掲載されています。発表日・発売日は未確認です。
IBR300はi.MX 93(Arm Cortex-A55 2コア+Cortex-M33)を採用し、Yocto 5.0を前提にした「装置組み込み」寄りのボードです。デュアルGbEやロック付き12〜24V入力が最初から揃っているのが、わかりやすい特徴なんですよね。Ethos-U65 microNPUも搭載しているので、軽量なエッジAI用途にも使えます。
ただし公開ページだけだと、M.2の配線(PCIe・USBのどちらか、世代やレーン)やブート切替・復旧手順、取付穴位置などが確定できません。採用前にデータシートの入手や問い合わせで前提条件を詰めるのがおすすめです。
スペック
| ■ IBASE IBR300 | |
|---|---|
| SoC | NXP i.MX 93(Arm Cortex-A55 2コア 最大1.7GHz) |
| MCU | Arm Cortex-M33(最大250MHz) |
| NPU | Arm Ethos-U65 microNPU(256 MAC、最大1.0GHz、2 OPS/MAC表記) |
| GPU | PXP(2D画像処理向け) |
| メモリ | 2GB LPDDR4(オンボード) |
| ストレージ | eMMC 32GB(オンボード。最大256GB表記あり)とmicroSDスロット |
| 有線LAN | RJ45 1GbE 2ポート |
| 映像出力 | LVDS 1系統、MIPI-DSI 1系統(1080p60 MIPI-DSI、720p60 LVDSの表記あり) |
| USB | USB 2.0 Type-A 2ポート(内部USB 2.0ヘッダの記載あり) |
| 拡張 | M.2 E-Key 2230(Wi-Fi・Bluetooth向け)、DIPスイッチ |
| 内部I/O | Debug COM、COM(RS-232)2系統、CAN FD 2系統、I2C・UART、Audio、RTC battery、DC power等 |
| 動作温度 | -40〜+85°C(ファンレス設計の記載あり) |
| 電源 | 12〜24V DC入力(ロック付きジャック)。内部給電ヘッダの記載あり |
| 対応OS | Yocto 5.0(公式表記)。要望により他OS対応の旨も記載 |
| サイズ | 105×72mm |
i.MX 93(A55+M33)とEthos-U65 microNPUを、デュアルGbEと12〜24Vロック付き電源、広温度対応のファンレス設計でまとめた、産業向け2.5インチSBCです。M.2の配線仕様やブート運用の詳細は未確認のため、採用前に確認を挟む前提で考えるのが現実的です。
特徴
SoC・CPUとMCU(i.MX 93)
IBR300の芯はNXP i.MX 93です。LinuxアプリはCortex-A55側、装置制御やタイミングが重要な処理はCortex-M33側と、役割分担が描きやすい構成になっています。単純な「速いCPU」より、保守性や長期運用の都合でシステムを分割したい現場に向くタイプですね。
i.MX 93はNXPのi.MX 9シリーズの中でもコストパフォーマンスを重視したSoCで、Cortex-A55(最大1.7GHz)は省電力と性能のバランスが良いコアです。前世代のi.MX 8M Miniなどと比べると、NPU搭載やセキュリティ強化(EdgeLock Secure Enclave)が進化ポイントになります。
「重い処理はA55、リアルタイム制御はM33」と役割を分けやすいのがうれしいポイント。
NXPは産業・車載向けの長期供給(10年以上)を掲げているので、製品ライフサイクルの長い装置に組み込みやすいのもメリットです。
NPU・AI性能(Ethos-U65 microNPU)
AI系の要素として、Ethos-U65 microNPU(256 MAC)が明記されています。大きなTOPSを競うというより、軽量な推論を機能として組み込みたいときの選択肢、という位置づけになります。NXPの公式ツール「eIQ Toolkit」を使えば、TensorFlow Lite モデルの変換・最適化が可能です。
スマートゲートウェイやセンサーデータの前処理など「重いGPUは不要だけど推論は欲しい」用途に刺さるスペック。
競合との比較
| 製品・SoC | NPU/アクセラレータ | AI性能目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| IBR300(i.MX 93) | Ethos-U65 microNPU | 〜0.5 TOPS相当 | 省電力・産業温度対応 |
| Raspberry Pi 5 + Hailo-8L | Hailo-8L | 13 TOPS | 汎用・追加コスト必要 |
| i.MX 8M Plus搭載SBC | NPU 2.3 TOPS | 2.3 TOPS | 上位性能・消費電力大 |
| NXP FRDM-i.MX93(評価キット) | Ethos-U65 microNPU | 〜0.5 TOPS相当 | 公式評価キット |
IBR300のNPUはRaspberry Pi+外付けアクセラレータほどの演算力はありませんが、電源・温度レンジ・デュアルGbEが最初から「現場向け」に揃っている点が差別化ポイントです。評価キット(FRDM-i.MX93)で先に動作検証してから、IBR300で量産設計に移行する流れもおすすめです。
対応フレームワークや実測性能、想定モデルなどは公開ページだけでは判断しづらいので、実装を詰める段階ではソフトウェアスタックの確認が必要です。
電源と熱(ファンレス・広温度)
電源は12〜24VのDC入力で、ロック付きジャックが前提です。さらに内部給電ヘッダの記載もあり、筐体組み込みを意識した設計になっています。
-40〜+85°C対応のファンレス設計は、屋外設置や工場内でも安心感がある。
動作温度は-40〜+85°Cと広く、ファンレス設計も明記されています。筐体内でどう熱を逃がすか(伝熱パス、風量、ヒートシンクの接触面)は現場の作り込み次第で変わるため、放熱設計は別途検討が必要ですね。
ストレージとブート(eMMC・microSD)
ストレージはeMMC 32GB(オンボード)に加えてmicroSDスロットを備えます。開発初期はmicroSDで回し、量産はeMMCに固定するといった運用が想定しやすい構成です。
eMMC+microSDの構成は、開発と量産で使い分けできるのがうれしい。
ブート切替や復旧手順の公式URLは未確認です。DIPスイッチの記載はありますが、用途を含めた運用は採用前に確認すべきです。
拡張と互換性(M.2 E-Keyと内部I/O)
M.2はE-Key 2230で、Wi-Fi・Bluetoothモジュール用途が明確です。M.2がPCIe・USBどちらに接続されるか、PCIe世代やレーンなどの互換性に直結する情報は未確認です。要件に直結する場合は、データシートの入手や問い合わせで配線仕様を確定させておくのがおすすめです。
Wi-Fi/Bluetoothモジュールが追加できるM.2 E-Keyは、IoTゲートウェイ用途で重宝する。
GPIOについても、ホビーSBCのような汎用40ピン互換ヘッダを前提にするより、内部I/O(I2C・UART、CAN FD、複数COM、Audio等)をピンヘッダで引き出す設計として捉えるのがよさそうです。
ネットワークと映像I/F
RJ45の1GbEを2ポート搭載しているため、装置内の中継機や小型ゲートウェイなど「LANを2本使う」構成が作りやすいのはわかりやすい強みです。
デュアルGbEは、PLCとの通信+上位ネットワーク接続を1台でまかなえるのが便利。
映像出力はLVDSとMIPI-DSIで、HDMI前提の汎用SBCとは狙いが異なります。組み込みパネル接続を重視する設計に向く一方、手元のHDMIモニタで気軽に動作確認したい用途には向きにくい点は注意です。NXPからはMIPI-HDMI変換アダプタ(IMX-MIPI-HDMI)も出ているので、開発時に活用できます。
外観

2.5インチ級の小型基板で、端子を基板端に寄せた「装置組み込み」前提のレイアウトに見えます。M.2(E-Key)スロットやmicroSDスロットの位置確認にも有用です。基板下面(BOTTOM)の画像は、公式ページで未確認です。

RJ45 2ポートとUSB Type-A、ロック付きDC入力が同一面にまとまっており、配線設計が立てやすい構成です。COM(RS-232・422・485)など、外部引き出しの有無は画像だけで断定せず、仕様表で確認してください。
まとめ
IBR300は、i.MX 93(A55+M33)とEthos-U65 microNPUを前面に出しつつ、Yocto前提で産業機器の堅牢運用に寄せた2.5インチSBCです。ロック付き12〜24V入力とデュアルGbE、ファンレス・広温度対応が公式に明記されている点は、装置組み込みの安心材料になります。
M.2の配線仕様やPCIe条件、ブート切替・復旧手順、取付穴などの情報は未確認です。「買ってすぐ遊ぶSBC」というより、要件を詰めて量産・保守まで見る人向けの部品に見えますね。問い合わせ導線(Inquiry Form)が用意されているため、設計前提を公式に確認しながら進めるのが現実的です。
| 入手方法 | 価格(税込参考) |
|---|---|
| IBASE(問い合わせ) | 未確認(見積相談) |
| 正規販売店 | 未確認 |
※ 産業向け製品のため、価格は数量・仕様によって変動します。見積依頼をおすすめします。
関連リンク
- 公式製品ページ(IBASE USA):https://www.ibase-usa.com/en/product/category/RISC_Platform/RISC_based_Single_Board_Computer/2_5_Disk_Size_SBC/IBR300
- 公式ニュース(IBASE Europe):https://www.ibase-europe.com/eu/news/category/0/IBASE_Announce_Compact_IBR300_2_5_SBC_Powered_by_NXP_i_MX_93
- NXP i.MX 93 製品ページ:https://www.nxp.com/products/processors-and-microcontrollers/arm-processors/i-mx-applications-processors/i-mx-9-processors/i-mx-93-applications-processor-family-arm-cortex-a55-ml-acceleration-power-efficient-mpu:i.MX93
- NXP i.MX 93 評価キット(EVK):https://www.nxp.com/design/design-center/development-boards-and-designs/i.MX93EVK
- NXP eIQ Toolkit(AI開発環境):https://www.nxp.com/design/design-center/software/eiq-ai-development-environment/eiq-toolkit-for-end-to-end-model-development-and-deployment:EIQ-TOOLKIT
- IBASE マニュアルダウンロード:https://www.ibase-usa.com/en/support/download/manuals
