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Radxa Cubie A7Z:65×30mmの超小型エッジAI向けSBC

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Radxa Cubie A7Z:65×30mmの超小型エッジAI向けSBC

Radxa Cubie A7Zは65×30mmにAllwinner A733(8コア)と3TOPS級NPUを搭載した超小型SBC。Wi-Fi 6やMicro HDMI 4K@60を備え、無線前提のエッジAI端末に向いています。

RadxaはRadxa Cubie A7Zの製品ページと公式ドキュメントを公開しています。Product Brief(Rev 1.1)は2025年8月26日公開と明記されていますが、製品の発表日・発売日は未確認です。

本機はAllwinner A733(Cortex-A76×2 + Cortex-A55×6)と3TOPS級NPUを、65×30mmの超小型基板にまとめたSBCです。Wi-Fi 6とBluetooth 5.4、Micro HDMI(最大4K@60)など、ボード単体で完結する要素も意外と多めなんですよね。

一方で、オンボード有線LANやM.2は見当たらず、拡張はPCIe FPC(PCIe 3.0 x1)前提。小ささと引き換えに割り切りもあるので、用途に刺さるかを仕様から整理していきます。

目次

スペック

■ Radxa Cubie A7Z
CPUAllwinner A733(8コア:Cortex-A76×2 + Cortex-A55×6)
GPUImagination BXM-4-64(OpenGL ES 3.2・Vulkan 1.3・OpenCL 3.0など)
NPU3 TOPS(Vivante VIP9000系との表記あり)
メモリオンボードLPDDR4/4X 1GB〜16GB(SKU選択)
ストレージmicroSD(TF)とオンボードUFS 3.0(オプション)
無線LAN・BTWi-Fi 6、Bluetooth 5.4、外部アンテナ(IPEX)
有線LANオンボードRJ45なし(PCIe拡張で2.5GbEなど案内あり)
映像出力Micro HDMI(最大4K@60)、USB-CのDP Alt Mode対応
動画デコード最大8K@24(H.265/VP9/AVS2)、エンコード最大4K@30(H.264/H.265)
USBUSB-C×2(USB 2.0給電・データ用 + USB 3.0 DP Alt Mode対応用)
拡張PCIe 3.0 x1(FPC)、40-pin GPIO、MIPI CSI、ファン端子
電源5V入力(USB-C推奨5V/1A)またはGPIO 5Vピンから給電
動作温度推奨周囲温度0〜50°C
対応OSDebian、Android 13(公式イメージあり)
サイズ65×30mm

65×30mmに8コアCPUと3TOPS級NPUを詰め込んだ、無線前提の超小型エッジAI向けSBCです。

Wi-Fi 6と4K@60映像出力を備えつつ、有線LANやM.2は拡張前提という割り切り設計。このサイズでどこまで使えるか、仕様の詳細を見ていきましょう。

特徴

SoC・CPUとGPU

Cubie A7Zの芯はAllwinner A733です。Cortex-A76を2コア、Cortex-A55を6コアの8コア構成で、小型SBCとしてはCPU側に余力を感じる設計ですね。

AllwinnerのA7xxシリーズは、タブレットやスマートディスプレイ向けに展開されているSoCファミリーです。A733はその中でも比較的新しい世代で、big.LITTLE構成によりシングルスレッド性能とマルチスレッド効率を両立しています。

このサイズ感だと「推論だけ速い」より、前処理(色変換・リサイズ)やストリーム制御、軽いサービス常駐などをCPU側で並走させられるかが地味に効いてきます。その意味ではA76入りはうれしいポイントなんですよね。Cortex-A55だけの構成と比べると、突発的な負荷にも対応しやすくなります。

GPUはImagination BXM-4-64で、Vulkan 1.3やOpenGL ES 3.2、OpenCL 3.0などに対応。ここはゲーム用途というより、UI描画・合成・軽いGPGPU処理の下支えとして理解するのが自然です。

NPU・AI性能(3TOPS級の捉え方)

NPUは3 TOPSの表記があります。実装名としてはVivante VIP9000系との記載もあり、AllwinnerがVeriSiliconのNPU IPをカスタマイズして搭載している構成です。

競合との比較では、同価格帯のNPU搭載SBCとして以下が挙げられます:

製品NPU性能特徴
Radxa Cubie A7Z3 TOPS65×30mm超小型、Wi-Fi 6内蔵
Orange Pi 5(RK3588S)6 TOPSUSB 3.0×2、M.2搭載
Raspberry Pi 5 + Hailo-8L13 TOPSM.2 HAT経由で外付け
Radxa ROCK 3A(RK3568)1 TOPS2.5GbE搭載

3TOPSという数字だけ見ると控えめですが、65×30mmという物理サイズと無線込みでボード単体が成立する点が差別化ポイントです。外付けアクセラレータを足すスペースがない用途では、むしろこの構成が刺さります。

TOPSは演算種別や測定条件で見え方が変わるので、数字で単純比較するより「何を動かしたいか」から逆算するのがコツですね。YOLOv5sやMobileNetV2クラスの軽量モデルなら、十分リアルタイム推論が視野に入ります。

メモリとストレージ(microSD・オンボードUFS)

メモリはオンボードのLPDDR4/4Xで、1GBから16GBまでSKUが用意されています。あとから挿し替えるタイプではないので、用途に合わせて最初のSKU選びが重要です。エッジAI用途なら4GB以上をおすすめします。

ストレージはmicroSD(TF)に加えて、オンボードUFS 3.0のオプションがあります。公式DocsにはmicroSD向け・UFS向けのDebianイメージと導入手順が用意されており、両方を運用ルートとして想定しているのがわかります。

注意点として、オンボードUFSの最大容量は公式情報内で表記差があります。製品ページやProduct Briefでは最大512GBの記載がある一方、公式Docsには最大1TBの記載も。ここは購入時にSKUを確認しておきたいポイントですね。

電源と熱(5V前提の設計)

電源入力は5Vで、USB-Cからの給電に加えてGPIOの5Vピンからの給電も可能。USB-C給電は推奨5V/1Aとされていて、消費電力は比較的控えめです。ただし小型ボードほど電源品質の影響が出やすいので、ケーブルと電源には余裕を持たせるのが安全ですね。

温度条件は推奨周囲温度0〜50°Cで、負荷に応じてクロック・電圧を調整しつつ、CPU温度が85°Cを超えないようにするといった説明があります。

典型用途では追加冷却なしで動作する旨の記載もありますが、高負荷を継続する場合や高温環境では追加冷却が必要になり得ます。ファン端子も用意されているので、ケース運用や連続推論を考えるなら最初から逃げ道(ヒートシンクと5Vファン)を作っておきたいところです。

拡張(PCIe FPCとNVMeの注意点)

拡張の中心はPCIe 3.0 x1のFPC端子です。オンボードにM.2コネクタはなく、公式DocsではPCIeから「PCIe to M.2 M Key HAT」を介してNVMe SSDを接続する手順が案内されています。

ただし公式Docsには、現状のNVMeは拡張ストレージ用途に限定され、フル機能は開発中という注記もあります。NVMeブートなどを前提にした設計は避け、まずは「追加ストレージが使えればOK」くらいの期待値で組むのが無難ですね。

GPIOは40-pinヘッダでUART・I2C・SPI・PWMなどに対応。ただしピンの排他や設定(Device Tree)次第で同時利用できない可能性が注記されています。互換ヘッダに見えても、使い方はボードごとに癖が出るので、ここは実装前提で確認したい部分です。

ネットワークと映像(無線前提の割り切り)

ネットワークはWi-Fi 6とBluetooth 5.4が前提で、外部アンテナ端子(IPEX)を持ちます。小型端末で通信距離やケース内配置が効いてくる用途だと、外部アンテナが最初から前提になっているのはうれしいところですね。

一方、有線LANについては、ボード上にRJ45がありません。製品ページにはPCIe経由で2.5GbE Ethernetなどの拡張を示唆する記載がありますが、LAN必須用途は拡張ボードまで含めて機構・消費電力・帯域(PCIe x1)を含めて設計判断が必要です。

映像はMicro HDMIで最大4K@60、USB-C側にはDP Alt Mode対応の表記もあります。Product Briefには動画デコード最大8K@24、エンコード最大4K@30の記載もあるため、推論と映像処理を同時に回す用途なら注目ポイントです。

外観

Radxa Cubie A7Z ポート面
参考:Radxa 公式製品ページ

ポート面にMicro HDMIとUSB-Cがまとまっていて、机上での取り回しは素直です。逆に言うと、RJ45などの大きいコネクタを載せないことで、このサイズに収めた設計にも見えますね。

Radxa Cubie A7Z 基板上面(TOP)
参考:Radxa Docs(Quick Start)

上面はSoC周辺や主要コネクタ配置を俯瞰できます。40-pin GPIOヘッダが長辺に沿って配置され、端子を片側に寄せたレイアウトなのがわかりますね。

Radxa Cubie A7Z 基板下面(BOTTOM)
参考:Radxa Docs(Quick Start)

下面は実装密度や配線の雰囲気が把握できます。65×30mmと小型なので、固定方法や絶縁(スペーサーや筐体側の干渉)は早めに実機前提で検討したいところです。取付穴仕様は未確認なので、ケース設計時は要注意。

まとめ

Radxa Cubie A7Zは、65×30mmの極小サイズにAllwinner A733と3TOPS級NPUを載せ、無線(Wi-Fi 6・Bluetooth 5.4)と映像(Micro HDMI 4K@60)を最初から押さえた、小型エッジAI向けのSBCです。

小型AIカメラや音声認識端末の製作、あるいはセンシング・推論を行うエッジデバイスや無線前提のIoTゲートウェイには最適な一台です。65×30mmというサイズを活かして、サイネージやデジタル表示端末に組み込む用途にも向いています。

一方で、有線LANが必須の環境(拡張ボードが必要)や、NVMeブートを前提とした高速ストレージ用途には不向きです。また、PCIe帯域をフルに使うような重い拡張構成を考えている場合も、このボードの特性とはマッチしないでしょう。

購入については、公式が地域別のディストリビュータを案内しています。価格はSKU(メモリ容量・ストレージ構成)によって変動するため、購入時に確認してください。

価格表

販売元価格(税別・参考)
Radxa 公式ディストリビュータ未確認(SKU/地域で変動)
Allnet China(参考)未確認

※最新価格・在庫は公式ディストリビュータページを参照してください。

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