
Orange Pi R2Sは、2.5GbEと1GbEをそれぞれ2ポート搭載したRISC-Vベースのネットワーク特化型SBCです。Ky X1 8コアCPUを搭載し、30ドル台から入手可能な高コスパなゲートウェイ機器として注目されます。
自作ルーターや小型ゲートウェイに興味がある方には、かなり刺さる製品が出てきましたね。 Orange Piから「Orange Pi R2S」が発表されました。Ky X1 8コアRISC-V CPUを搭載し、合計4つのLANポート(2.5GbE x2 + 1GbE x2)を備えたネットワーク特化型のSBCです。
しかも価格は30ドル台からと、競合のNanoPi R4S(55ドル〜)やR6S(135ドル〜)と比べて圧倒的に安いんですよね。RISC-Vアーキテクチャという新しい選択肢も含め、自作ルーター界隈に新たな風を吹き込む存在になりそうです。
スペック
| ■ Orange Pi R2S | |
|---|---|
| CPU | Ky X1 8コア RISC-V AI CPU(40K+ DMIPS、2.0 TOPS) |
| メモリ | 2GB / 4GB / 8GB LPDDR4X |
| ストレージ | eMMC 8GB(固定) |
| ネットワーク | 2.5GbE x2 + 1GbE x2 |
| USB | USB 3.0 x1、USB 2.0 x1 |
| TFカード | 転送インターフェース(ブート不可の可能性) |
| 映像出力 | なし(ヘッドレス運用前提) |
| 電源 | USB-C 5V 3A |
| サイズ | 79.2 x 46 x 1.6 mm |
| OS | OpenWrt / Ubuntu |
30ドル台で2.5GbE x2 + 1GbE x2という、自作ルーター勢には垂涎のスペックです。
特徴
SoC・CPU
Ky X1はあまり聞き慣れないSoCですが、なかなか興味深いスペックを持っています。8コアRISC-V構成で40K+ DMIPSという処理性能を公称しており、これはルーティング処理やファイアウォール用途には十分すぎるほどの数値ですね。
公式では「2.0 TOPS AI演算能力」も謳っていますが、これはNPU(専用AI処理ユニット)ではなく、CPU内のベクトル演算による実現とのこと。つまり独立したNPUモジュールなしで「INT8で2.0 TOPS相当」のAI処理ができるという設計思想です。
これ、実際どうなんでしょうか。正直なところ、競合と比較すると見劣りする部分はあります。
| ボード | SoC | CPU構成 | NPU/AI性能 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| Orange Pi R2S | Ky X1 | 8コア RISC-V | 2.0 TOPS(CPU内) | $30〜 |
| NanoPi R4S | RK3399 | A72 x2 + A53 x4 | なし | $55〜 |
| NanoPi R6S | RK3588S | A76 x4 + A55 x4 | 6 TOPS(NPU搭載) | $135〜 |
NanoPi R6Sは本格的なNPUを搭載しており、AIエッジ処理を本気でやるなら圧倒的に有利です。ただ、価格差は4倍以上。R2Sの「2.0 TOPS」はおまけ程度に考えて、ルーター用途での価格破壊っぷりを評価すべきでしょうね。
Ky X1の素性についてはまだ情報が少ないのですが、中国系のRISC-V SoCベンダーによる製品と推測されます。RISC-Vエコシステムが拡大する中で、ネットワーク機器向けに低コスト・低消費電力を狙った設計のようです。

RISC-Vで40K+ DMIPS、30ドル台でこの性能は正直インパクトがあります。
ネットワーク構成
最大の特徴はやはりLANポートの構成です。2.5GbE x2 + 1GbE x2という計4ポート構成は、この価格帯では他に例を見ません。
WAN/LANの物理的な分離はもちろん、DMZや管理用ポートの確保など、4ポートあれば個人のネットワーク実験用途としては十分すぎるほどです。しかもそのうち2ポートが2.5GbEに対応しているため、マルチギガビット回線のルーターとしても理論上は機能しますね。
たとえば、自宅に2.5GbE対応のNASがある場合、WAN側で2.5GbEを使いつつLAN側でもNASに2.5GbEで接続できます。これが30ドル台で実現できるのは衝撃的です。
NanoPi R4Sは1GbE x2構成で55ドル、R6Sは2.5GbE x2 + 1GbE x1で135ドルという価格設定です。R2Sの価格破壊っぷりがよくわかります。
メモリとストレージ
メモリは2GB/4GB/8GBのラインナップがありますが、ストレージはeMMC 8GBに固定されています。
OpenWrtなどの軽量OSを動かす分には十分ですが、Ubuntuを入れてサーバーとしていろいろ動かそうとすると、8GBは心許ない容量なんですよね。USB 3.0ポートに外部ストレージを繋ぐ運用も検討すべきでしょう。
TFカードスロットについては「転送インターフェース」との記載があり、ブート用ではない可能性が高いです。実機での検証待ちですが、外部ストレージとしてのみ認識される仕様かもしれません。この点はちょっと惜しいですね。
8GBのeMMCはルーターOSには十分。汎用サーバー用途なら外部ストレージ必須です。
ソフトウェア対応
公式OSとしてOpenWrtとUbuntuがサポートされています。RISC-Vアーキテクチャということで、ARM向けのバイナリはそのままでは動きません。ここは注意が必要です。
ただし、OpenWrtについては公式サポートがあるため、自作ルーター用途なら大きな問題にはならないでしょう。Ubuntuについてもパッケージ対応は進んでいますが、ARM版ほど充実しているわけではないので、ニッチなソフトウェアを動かしたい場合は事前調査をおすすめします。
OpenWrtでルーター運用なら問題なし。Linuxサーバーとして使うならRISC-V対応状況の事前確認を。
外観


サイズは79.2 x 46 mmと非常にコンパクト。NanoPi R4S(66 x 66 mm)よりも細長い形状です。NanoPi R6S(62 x 90 mm)と比べると半分程度の面積しかありません。
この小ささで4ポートLANを詰め込んでいるのは、設計上かなり頑張っていますね。既存の小型ルーターケースに近い筐体で運用できそうですが、専用ケースが出てくればさらにうれしいところです。
USB-C電源(5V 3A)で動作するため、一般的なUSB電源アダプターで運用可能です。省電力設計なので、ファンレス運用も十分視野に入ります。
まとめ
Orange Pi R2Sは、RISC-V × 多ポートLANというニッチな需要をピンポイントで突いてきた製品です。
「とにかく安く、多ポートのルーターを自作したい」「RISC-Vでネットワーク機器を作ってみたい」という層には強烈に刺さる一台ですね。OpenWrt対応で実用性も確保されており、趣味と実益を兼ねた遊び道具としては最高クラスのコストパフォーマンスです。
一方で、映像出力がなくストレージも限定的なため、汎用的なLinux PCとして使うには不向きです。RISC-Vアーキテクチャの制約も理解した上で、用途を割り切って遊べる人向けのボードと言えるでしょう。
競合のNanoPi R4S/R6Sと比較すると、性能面では劣る部分もありますが、30ドル台で2.5GbE x2を手に入れられるのはR2Sだけです。ルーター用途に特化するなら、最強のコスパ機として候補に入れておきたいですね。
価格情報
| 販売元 | バリエーション | 価格(参考) |
|---|---|---|
| 公式(AliExpress) | 2GB RAM | 約$30〜(約4,800円) |
| 公式(AliExpress) | 4GB RAM | 約$40〜(約6,400円) |
| 公式(AliExpress) | 8GB RAM | 約$50〜(約8,000円) |
※価格は為替レートやセールにより変動します。
競合製品との比較
| 製品 | LAN構成 | CPU | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Orange Pi R2S | 2.5GbE x2 + 1GbE x2 | Ky X1(RISC-V 8コア) | $30〜 | 最安・4ポート |
| NanoPi R4S | 1GbE x2 | RK3399(ARM 6コア) | $55〜 | 安定・実績あり |
| NanoPi R6S | 2.5GbE x2 + 1GbE x1 | RK3588S(ARM 8コア) | $135〜 | 高性能・NPU搭載 |
