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PINE64 StarPro64:20TOPS NPU搭載のRISC-V SBC

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PINE64 StarPro64:20TOPS NPU搭載のRISC-V SBC

PINE64が「StarPro64」を公式ストアに掲載。ESWIN EIC7700X(SiFive P550×4)にNPU 19.95 TOPS(INT8)を載せた、AI寄りのRISC-V SBCです。PCIe Gen3 x4やデュアルGbEといった拡張性も魅力ですが、現時点ではalpha扱い。開発・検証目的の人に刺さる一枚ですね。

PINE64のStarPro64は、RISC-Vアーキテクチャで本格的なAI処理を試したい人に向けた新世代SBCです。

SoCはESWIN EIC7700X。CPUコアにSiFive P550を4基積み、NPUは19.95 TOPS(INT8)を公称しています。これ、RISC-V単体のSBCとしてはかなり尖った構成なんですよね。

ただし公式Docsで「リリースはalpha、開発・テスト向け」と明記されているので、安定運用より「新しいRISC-Vボードを触ってみたい」という検証マインドの人向け。そのぶん、PCIe Gen3 x4やデュアルGbEなど、拡張実験の母艦としてはロマンがあります。

目次

スペック

■ PINE64 StarPro64
SoCESWIN EIC7700X
CPUSiFive P550×4(最大1.8GHz、13段・3発行・OoO)
GPUImagination AXM-8-256(最大600MHz)
NPU19.95 TOPS(INT8)/ 9.975 TOPS(FP16/INT16)
メモリ8GB / 16GB / 32GB LPDDR5 @ 6400MHz(64bit)
ストレージXSPI NOR flash(16MB)・microSD・eMMC(いずれもブート可能)
映像出力デジタル映像出力(最大4K@60Hz)、H.264/H.265 HWデコード
無線LAN・BTWi-Fi 6(802.11ax)・Bluetooth 5.3
有線LANデュアル 1GbE
USBUSB 3.0×2・USB 2.0×2
拡張PCIe Gen3 x4(オープンエンド)・Pi2 GPIO(40ピン)・MIPI DSI/CSI
サイズ133×80×19mm(Model-A)
電源DC 12V @ 3〜5A(5.5mm/2.1mm バレルジャック)
対応OSRockOS / ALPHA-One(alpha扱い)

19.95 TOPS級NPU搭載のRISC-V SBCを、PCIe Gen3 x4拡張とデュアルGbEを備えた133×80mmのModel-A基板に収めた構成。SiFive P550の採用で、RISC-V SBCとしては性能面でも注目できる一枚です。

特徴

SoC・CPU

StarPro64のSoCはESWIN EIC7700X。CPUコアにSiFive P550を4基搭載しています。P550は13段パイプライン・3発行・アウトオブオーダー実行に対応した64bit RISC-Vコアで、SiFive公式によると「Arm Cortex-A75比で30%高性能、面積は半分以下」「SpecINT2k6で8.6/GHz以上」を謳うハイパフォーマンス寄りの設計なんですよね。

キャッシュ構成は、L1が命令/データ各32KB(ECC付き)、L2がコアごとに256KB、L3は4コア共有で4MB。メモリ帯域もLPDDR5 @ 6400MHzの64bit接続なので、AI推論やマルチタスクでもそれなりに回せるスペックです。

GPUはImagination AXM-8-256(最大600MHz)。OpenCL 3.0・OpenGL ES 3.x・Vulkan 1.3に対応し、INT8換算で1024 OPS/Clockのニューラル演算もサポートしています。映像処理はH.264/H.265のハードウェアデコード(最大4K60p)が使えるので、メディア再生用途も視野に入ります。

ただし重要な点として、公式Docsで「リリースはalpha、開発・テスト向け」と明記されています。ソフトウェア成熟度を前提にした実運用評価は避けるべき段階で、今は新しいRISC-V SBCのBring-upを楽しみたい人向けの製品ですね。

PINE64 StarPro64(基板上面)
参考:PINE64 公式ドキュメント

NPU・AI性能

NPUは19.95 TOPS(INT8)、FP16/INT16では9.975 TOPSを公称。SBC単体でこのクラスのNPU性能を内蔵しているのは、RISC-Vボードとしてはかなり尖った構成です。

競合と比較すると、こんな感じになります。

製品NPU性能備考
StarPro6419.95 TOPSRISC-V、SoC内蔵
Raspberry Pi 5 + Hailo-8L13 TOPS外付けアクセラレータ
Orange Pi AI Max20 TOPSRK3576搭載(Arm)
Milk-V Meles2 TOPSRISC-V、TH1520搭載

Raspberry Pi 5にHailo-8Lを追加した構成(合計13 TOPS)と比べると、StarPro64はRISC-V単体でより高いNPU性能を持つ点が差別化ポイント。一方でOrange Pi AI Maxのように同等のNPU性能を持つArmボードもあるので、「RISC-Vでエッジ推論を試したい」というモチベーションが刺さるかどうかが選択のカギになりますね。

ただし現時点ではOSがalpha扱いのため、NPUを活用した推論パイプラインがすぐに回せる環境が整っているかは別問題です。公式DocsのSoftwareページにダウンロード導線がありますが、初期導入は試行錯誤が前提になる点は覚悟しておいたほうがいいでしょう。

メモリとストレージ

メモリはLPDDR5 @ 6400MHzで、8GB・16GB・32GBの3構成が公式ページに記載されています。現時点で公式ストアに掲載されているのは32GBモデル($249.99)。SBCとしてはかなり潤沢なメモリ容量で、複数の推論モデルを同時に走らせたい場合でも余裕があるのはうれしいポイントですね。

ストレージはXSPI NOR flash(16MB)・microSD・eMMC(PINE64 eMMCモジュール)がブート可能。「まず起動させる」観点では選択肢が多いので、検証段階では助かります。

外観・インターフェース

PINE64 StarPro64(基板下面)
参考:PINE64 公式ドキュメント

外観は133×80×19mmの「Model-A」サイズで、重量は約116g。Star64と同じフォームファクタを踏襲しています。

基板上面にはデュアルRJ45、USB群(3.0×2・2.0×2)、映像出力端子、電源入力(DCジャック)、3.5mmオーディオジャックが配置。PCIe Gen3 x4のオープンエンドスロットも確認できます。

放熱については公式ストアで「ヒートシンク必須」と注記されているので、裸運用は前提にせず、上面・下面双方からケース・放熱設計を検討するのがおすすめです。

その他

拡張性

PCIeはGen3 x4 lane(オープンエンドスロット)を搭載。帯域が必要な拡張(NVMe SSD、ネットワークカード、各種アクセラレータ等)を試す「母艦」としてはロマンがありますね。M.2スロットは非搭載なので、NVMeを使いたい場合はPCIe→M.2変換アダプタ経由になります。

GPIOは「Pi2」の40ピンヘッダ(2×20)を搭載。ただしRaspberry Piとの完全互換は公式で明示されていないので、必要な信号が出るかはPinout図や回路図で確認してください。UART接続ではUSBシリアルを3.3Vレベルに設定する必要があります。

MIPI DSI(4レーン)とMIPI CSI(4レーン)も用意されているので、ディスプレイやカメラモジュールの接続も可能です。

ネットワーク

有線はデュアル1GbE、無線はWi-Fi 6(802.11ax、2.4/5GHz)+Bluetooth 5.3。Wi-Fi/BTモジュールはAIC8800D80を採用しています。小型エッジ機や試験用ルータ・NAS寄りの構成も組みやすい部類ですね。

映像は「デジタル映像出力 最大4K@60Hz」まで一次情報がありますが、端子種類(HDMI/DisplayPort等)は公式で明示されていません。OS・ドライバの成熟度によって実効上限も変わりうるので、現時点では「出力できる前提」での設計は控えめにしたほうがよいでしょう。

電源・熱

電源は**DC 12V(3〜5A)**で、5.5/2.1mmのセンタープラス・バレルジャック仕様。ラズパイ感覚の5V USB-C給電を期待している人は注意が必要です。最大60Wクラスの電源が必要になるので、ACアダプタは別途用意することになります。

公式ストアで「ヒートシンク必須」とされているため、裸運用は避けて筐体・放熱計画を先に作ってから触るのが安全です。

まとめ

StarPro64は、SiFive P550×4コア19.95 TOPS級NPUを載せた、明確に「開発者向け」のRISC-V SBCです。

SiFive P550はCortex-A75比で30%高性能・面積半減を謳うハイパフォーマンスコアで、RISC-V SBCの中ではトップクラスの処理能力。NPU性能もRaspberry Pi 5+Hailo-8Lを上回る水準なので、RISC-V単体でエッジAIを試したい人には刺さる構成ですね。

一方で電源が12V系、ヒートシンク必須、OSがalpha扱いと、運用は「ラズパイ感覚」より一段シビアです。PCIe Gen3 x4が搭載されているので拡張実験の母艦としてはロマンがありますが、今は「安定運用」より「検証・Bring-up」を楽しめる人向けという印象。

RISC-Vの新しいSBCを触ってみたい開発者や、NPU搭載ボードでエッジAIの実験を始めたい人には刺さる一枚です。PCIe拡張で遊びたい人にとっても、母艦として魅力的ですね。

一方で、すぐに安定した推論パイプラインを運用に乗せたい人や、5V USB-C給電で手軽に使いたい人には向いていません。あくまで検証・実験用として割り切れる人向けです。

価格

販売元価格備考
PINE64 公式ストア$249.9932GBモデル
PINE64 公式ストア未掲載8GB/16GBモデル(今後追加の可能性)

※価格は2025年12月時点。送料別。

関連リンク

公式

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